◎昨年ダリエンを通過した移民は52万人を超え、22年の2倍以上に急増。過去最高を更新した。
2024年9月26日/コロンビアとパナマの国境「ダリエン地峡」、米国を目指す移民(ロイター通信)

中米パナマとコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」に入り、米国を目指すベネズエラ人が再び増えつつあるようだ。

変革に期待していた多くのベネズエラ人が独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の勝利宣言に落胆し、国を飛び出した。

ダリエンの入り口でAP通信の取材に応じた元タクシー運転手の男性は「マドゥロが去ったら、ベネズエラに残るつもりだったが、何も変わらなかった」と語った。

この男性は先週、妻と8歳の息子、知人4人と一緒にベネズエラを離れた。

ダリエン内の河川でNGOの支援を受けたベネズエラの女性はAPに「ベネズエラには仕事もお金も未来もない。自殺も考えたが、子供たちのために、米国でより良い未来を見つけたい」と語った。

昨年ダリエンを通過した移民は52万人を超え、22年の2倍以上に急増。過去最高を更新した。

そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。その大半がベネズエラ人であった。

昨年移住を思いとどまったという22歳の青年はAPに、「マドゥロが失脚すれば、ベネズエラは再び石油輸出でかつての輝きを取り戻せると信じていたが、諦めた」と語った。

現在、パナマ当局が取り締まり強化したことで、ダリエンに入る移民は減少傾向にあるが、7月のベネズエラ大統領選でマドゥロ氏が勝手に勝利を宣言したことで、再び多くのベネズエラ人が国を捨て、新たな移民の波を引き起こす可能性がある。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補ゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は先月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらに首都カラカスの地方裁判所は今月初め、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。

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