◎この男性は43歳で、8月1日の抗議デモ中に逮捕され、拘置所で体調を崩し、今月亡くなった。
南米ベネズエラの人権団体は16日、今年7月の大統領選挙の結果に抗議するデモに参加したとして逮捕・投獄された男性が獄中死したと明らかにした。
それによると、この男性は43歳で、8月1日の抗議デモ中に逮捕され、拘置所で体調を崩し、今月亡くなったという。
検察庁は16日の声明で、「選挙後の暴動により逮捕された約2000人のうち、4分の1が釈放された」と明らかにしたが、この男性が獄中死したことには言及しなかった。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどによると、このデモ後にベネズエラの拘置所で亡くなった市民は男性を含めて3人確認されているという。
この男性は息子とともに8月1日に逮捕され、今月、激しい腹痛を訴えて病院に緊急搬送された。
刑務所当局はそれを「ただの腹痛」と判断したが、男性は退院後に体調を崩し、亡くなったという。
地元の複数の人権団体は共同声明で、「男性の遺族は医療処置が遅れ、最後まで病状について正確な情報を得られなかった」と非難した。
男性の息子は現在も勾留されている。
一方、検察庁はインスタグラムへの投稿で、「暴動に関連する事件を見直した結果、これまでに533人が釈放された」と述べたが、詳しい説明はなく、獄中死にも言及しなかった。
大統領選の結果に抗議するデモは首都カラカスを含む複数の都市で行われ、治安部隊の取り締まりにより少なくとも28人が死亡、200人近くが負傷、約2000人が逮捕された。
マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国を含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。