◎米国を含む7カ国が大統領選の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。
ベネズエラ大統領選に立候補したゴンザレス氏(右)とマチャド元議員(Getty Images)

ベネズエラの司法長官事務所は5日、全野党が軍に対し、マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領への支持を放棄するよう促したことを受け、大統領選に出馬したゴンザレス(Edmundo González)氏と全野党の指導者マチャド(María Corina Machado)元議員に対する犯罪捜査を開始すると発表した。

全野党の指導者らは同日、軍と警察に対し、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促し、抗議デモに参加する市民への弾圧をやめるよう要請していた。

首都カラカスの司法長官事務所は声明で、全野党の指導者らが国家転覆を企てていると主張。反逆罪などの疑いでゴンザレス氏とマチャド氏への捜査を開始すると明らかにした。

同事務所は2人が国家転覆を企て、暴力を煽り、偽情報を流して恐怖を引き起こしていると非難。反逆罪を含む様々な罪で逮捕すると示唆した。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけているという。

米国を含む7カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。

現地メディアによると、軍と警察の上層部がマドゥロ氏を見捨てる気配は今のところみられない。

全野党は軍と警察に対し、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促し、全国各地で続いている抗議デモを取り締まらないよう要請した。

軍は中立の立場であるにもかかわらず、故チャベス(Hugo Chávez)前大統領の時代から政府与党による権力掌握のカギとなってきた。

これまでのところ、軍は全野党が信頼できる集計結果を公表し、米国などがゴンザレス氏を勝者と認定しても、マドゥロ氏への忠誠を誓っているように見える。

全野党は5日、ゴンザレス氏とマチャド氏の声明をSNSに投稿。軍と警察に対し、弾圧をやめ、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促した。

「私たちは軍と警察に対し、国民とその家族の側に身を置くよう訴えます」

「我々は間違いなくこの選挙に勝利しました。地滑り的勝利を収めたのです。今、国民の声を尊重するかどうかは、あなたたちを含む全国民にかかっています」

選管は先週、集計結果を公表すると約束したが、欧米と中南米諸国が求めるレベルのデータは示していない。

野党は全国3万か所の投票所のうち80%以上の集計表を集めたと主張している。

マドゥロ氏は3日、カラカス市内の選挙集会で演説した際、治安当局がこれまでに約2000人の反体制派を逮捕したと発表。野党を「ファシスト」と呼び、そのデモに参加する者をひとり残らず逮捕すると誓った。

地元の人権団体によると、この取り締まりで少なくとも11人が死亡、数百人が負傷したという。

マチャド氏は3日、約1週間ぶりに公の場に姿を現したものの、選挙集会終了後、姿を消した。ゴンザレス氏も7月30日以来、公の場に姿を見せていない。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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