◎国営テレビはこの選挙を「茶番」「ままごと」と嘲笑したが、現地メディアによると、登録有権者230万~240万人が票を投じたという。
ベネズエラの野党が主催する大統領予備選の集計が進み、同国初の女性大統領を目指すマチャド(María Corina Machado)元議員の勝利が確実となった。現地メディアが23日に報じた。
野党選管当局によると、開票率26%時点でマチャド氏の得票率が90%を超え、今後も順調に票を伸ばす見込み。
マチャド氏は23日未明に勝利を宣言し、有権者に「マドゥロ政権の牙城を崩す」と約束した。
投票は22日に行われ、野党が独自に開設とした投票所には悪天候にもかかわらず多くの有権者が長い列をつくった。
国営テレビはこの選挙を「茶番」「ままごと」と嘲笑したが、現地メディアによると、登録有権者230万~240万人が票を投じたという。
野党は当局によるインターネット検閲のせいで、初期の開票結果を公表できなかったとみられる。
SNSで共有された情報によると、得票総数の26%にあたる約60万票を集計した時点で、マチャド氏の得票率は約93%と群を抜いていたという。
多くのベネズエラ人が投票所(民家、私立学校、教会、企業オフィス、公園、広場など)に何時間も並び、1票を投じた。
ベネズエラの選管は通常、公立学校や役場に投票所を開設する。しかし、選管が野党の協力要請に応じなかったため、予備選の投票所は民家、教会、私立学校、その他施設に開設された。
野党は参加者数を予想していなかったが、この取り組みにかかわった人々は物流の問題、燃料不足、マドゥロ政権の弾圧・威嚇・嫌がらせなどから、投票数を100万程度と予想していた。
しかし、ベネズエラ国外(スペイン、メキシコ、アメリカなど)に設置された投票所にも多くのベネズエラ人が集まり、予想をはるかに上回る投票数となった。
野党は数日以内に最終結果を公表するとしている。
マチャド氏は演説の中で、マドゥロ政権に対し、今回の結果を来年の大統領選に反映させるよう要求したが、それが容易ではないことも認めた。
大統領選は2024年後半に予定されている。
マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は任期を2030年まで勝手に延長する可能性がある。
ベネズエラの経済はマドゥロ氏の不作為と米国の制裁でボロボロのスッカスカになり、この数年で市民700万人が国外に流出したと推定されている。
GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりで急降下。2021年のGDP(推定値)は10年前の2割以下に落ち込んだ。
西側諸国は2018年の大統領選に出馬した野党党首グアイド(Juan Guaido)氏をベネズエラの暫定大統領と認めている。
マドゥロ氏が任期を延長すれば、同氏が師と仰ぐチャベス(Hugo Chavez)元大統領の在任期間を上回ることになる。