◎ゴンザレス氏の突然の離脱は独裁者のマドゥロ大統領を失脚させたい全野党にとって大きな痛手となりそうだ。
7月末のベネズエラ大統領選に立候補した全野党の統一候補ゴンザレス(Edmundo González)氏がスペインに亡命した。ベネズエラ政府が7日、明らかにした。
首都カラカスの地方裁判所は今週初め、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行していた。
当局はゴンザレス氏が検察の出頭要請を3回無視したと非難。地裁に令状を求めたとしている。
ゴンザレス氏の突然の離脱は独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を失脚させたい全野党にとって大きな痛手となりそうだ。
ロドリゲス(Delcy Rodríguez)副大統領はインスタグラムに声明を投稿。ゴンザレス氏はカラカスの在スペイン大使館に避難していると書き込んだ。
またロドリゲス氏は「政府は政治的平和と平穏を回復するために、ゴンサレス氏の安全な出国を許可した」と述べた。
ゴンサレス氏や全野党の指導者マチャド(María Corina Machado)元議員はコメントを出していない。
ゴンザレス氏は75歳の元外交官で、マチャド氏が大統領選への出馬を禁じられたことを受け、全野党の統一候補に指名された。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。
米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は先月末、マドゥロ氏の勝利を認定した。
米政府は3日、ゴンサレス氏の逮捕状を不当と非難。ベネズエラ政府の動き次第では、新たな制裁を科す可能性があると示唆した。
米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、マチャド氏が大統領選に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。
ゴンサレス氏は選挙翌日以来、公の場に姿を見せていない。