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ベネズエラ首都で賃上げを求めるデモ、経済危機続く中


デモには労働組合の委員長、公務員、年金生活者らが参加し、カラカス中心部から大統領府を目指して行進した。
2026年4月9日/ベネズエラ、首都カラカス、給与・年金・福利厚生の改善を求めるデモ(AP通信)

南米ベネズエラの首都カラカスで9日、賃上げと年金の改善を求める労働者や退職者らによる抗議デモが行われたが、治安部隊によって進路を阻まれ、大統領府への到達は阻止された。長引く経済危機のもとで生活苦が深刻化する中、暫定政権への不満が表面化した形である。

デモには労働組合の委員長、公務員、年金生活者らが参加し、カラカス中心部から大統領府を目指して行進した。しかし、当局は事前に警察部隊を配置し、道路上に複数の封鎖線を設置してこれを阻止した。参加者の一部は1つ目のバリケードを突破したものの、最終的には大統領府の2キロ手前で足止めされた。現場では小規模な衝突が発生したが、負傷者や逮捕者は報告されていない。

今回の抗議は前日にロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領が国民向け演説で経済再建に向けた「忍耐」を呼びかけた直後に発生した。ロドリゲスは5月1日に賃上げを実施する方針を示したものの、具体的な引き上げ幅には言及せず、インフレ再燃を避けるため慎重に進める必要があると強調した。

しかし、労働者側の不満は強い。ベネズエラでは長年の経済混乱により、賃金水準が著しく低下。生活必需品を賄うことが困難な状況が続いている。公務員の月収は約160ドル、民間部門でも平均237ドル程度にとどまり、最低賃金は2022年以降据え置かれたままで、時給約0.27ドル(43円)という極めて低い水準にある。こうした状況は国連が定める極度の貧困ラインを大きく下回っており、多くの市民が日常生活の維持すら困難な状態に置かれている。

デモ参加者は「購買力のある賃金」を求め、小幅な賃上げでは不十分だと訴えた。一部の労組関係者も政府に対する不信感をあらわにし、賃金問題にとどまらず政治的な変革を求める声を上げた。抗議の中では、選挙の実施や政権交代を求める発言も見られ、経済問題と政治的不満が密接に結びついている実態が浮き彫りとなった。

カラカス市内では同日、政府支持者による別の行進も行われ、対照的な動きが展開された。これは国内の分断が続いていることを示している。ベネズエラでは近年、ハイパーインフレや物資不足、通貨価値の急落などを背景に抗議活動が繰り返されており、社会不安は根強い。

今回のデモは政府が掲げる経済再建策に対する国民の不信と、生活水準の著しい低下への強い危機感を改めて示すものとなった。今後、政府が実施を約束した賃上げがどの程度実効性を持ち、国民生活の改善につながるのかが焦点となる。同時に、経済政策と政治体制の双方に対する不満が解消されない限り、同様の抗議が再燃する可能性が高いとみられる。

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