SHARE:

ベネズエラ議会、海外投資家を誘致する鉱業法案可決


新法は鉱業権の枠組みを明確化し、小規模・中規模・大規模の採掘区分を導入するとともに、紛争解決に国際仲裁を認める仕組みを盛り込んだ。
ベネズエラ、首都カラカス(ロイター通信)

ベネズエラ議会は9日、外国投資の呼び込みを目的とする鉱業法案を賛成多数で可決した。長年にわたり混乱と非公式活動に支配されてきた鉱業部門を再編し、経済再建の柱とする狙いがある。

新法は鉱業権の枠組みを明確化し、小規模・中規模・大規模の採掘区分を導入するとともに、紛争解決に国際仲裁を認める仕組みを盛り込んだ。これは過去に外資資産が接収された経緯から、投資家の信頼回復に不可欠である。また、大統領や閣僚など政府高官が鉱業権益を保有することを禁じ、利益相反の排除も図った。

この法案はロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領が主導する経済改革のひとつである。2026年初頭に米国の介入で前大統領が失脚して以降、暫定政権は対外関係の改善と市場開放を進め、石油分野に続き鉱業分野でも外資導入を本格化させる方針を打ち出している。

ベネズエラは金やダイヤモンド、銅など豊富な鉱物資源を有するが、近年は国家統制の強化や制裁、インフラの老朽化により生産が低迷してきた。特に2016年以降、国土の1割以上が鉱業開発地域に指定されたものの、実際には無許可採掘や武装組織による支配が横行し、治安悪化や人身売買など深刻な問題が発生している。

こうした状況を受け、新法は鉱業の「合法化」と「制度化」を進めることで、違法採掘の縮小と国家収入の拡大を目指す。米国務省の推計では、ベネズエラの金採掘は年間約22億ドル規模とされるが、その多くが非合法なルートで流通し、政府にとっては税収確保の観点からも改革が急務となっている。

さらに新法では国内外の企業や国有企業が共同で採掘事業に参入できるほか、最長30年の採掘権を付与する制度も導入された。鉱物資源の所有権は国家に残るものの、長期契約と税制の整備によって投資環境の安定化を図る内容となっている。

米政府はこの動きを支持し、資源分野での協力拡大を通じてベネズエラ経済の再建と、中国など他国の影響力抑制を狙う。すでに複数の外国企業が関心を示し、現地訪問も相次いでいる。

ただし課題も多い。長年にわたる制度的不透明性や治安の悪さ、インフラ不足に加え、司法の独立性に対する懸念も根強い。今回の法案は最高裁の合憲審査を経る必要があり、実際の運用が投資家の信頼を得られるかは不透明である。

このように新鉱業法はベネズエラの資源開発を再活性化する重要な転換点と位置付けられるが、違法採掘の根絶や制度改革の実効性が伴わなければ、期待通りの投資流入につながるかは不確実である。経済再建を左右する試金石として、今後の動向が注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします