ベネズエラ政府、民間部門への課税強化、トランプ制裁受け

独裁者のマドゥロ大統領は先月、経済緊急事態を宣言し、様々な免税を取り消すことを認めていた。
2019年1月10日/ベネズエラのマドゥロ大統領(ロイター通信)

ベネズエラ政府がトランプ米政権による制裁強化による石油収入減に対応するため、民間部門への課税と公共サービス料金を引き上げている。現地メディアが2日に報じた。

アナリストはこれらの措置が既に苦境に立たされている民間企業にさらなる打撃を与えると予想している。

米国は2月、ベネズエラで操業している石油会社(シェブロン、伊エニ、スペインのレプソルなど)に対し、ベネズエラでの操業と輸出を5月27日までに停止するよう命じた。このライセンスは予定通り失効した。

米国が2019年にベネズエラにエネルギー制裁を科して以来、外国企業が国営石油会社PDVSAと石油・ガスプロジェクトの交渉、計画、開発を行うには、米国のライセンスが必要である。

トランプ政権が通知を出して以来、ほとんどの企業がベネズエラ産石油の輸入を停止している。

米国はベネズエラの石油買い手に対して25%の追加関税も課している。

アナリストはこれらの措置がベネズエラの石油収入(24年:約150億ドル)を30%減少させる可能性があると推計している。

政府はこの収入減を見越して事前納税、監査強化、多額の罰金と課徴、地方当局や公共サービス提供者が料金を引き上げることを認める措置を講じた。

これらの措置は経済危機、高インフレ、為替管理に直面する民間部門にさらなる圧力をかけている。

独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は先月、経済緊急事態を宣言し、様々な免税を取り消すことを認めていた。

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、かつては南米最大の経済大国であった。しかし、その経済は米政府による制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

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