◎政府与党と一部の国会議員はゴンザレス氏とマチャド氏が暴力を煽っているとして、逮捕するよう求めている。
ベネズエラ全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員が3日、首都カラカスの選挙集会に姿を現した。
7月28日の大統領選の結果に抗議するデモは勢いを増している。現地メディアによると、3日のデモには10万人以上が参加したという。
地元の独立系メディアは警察関係者の話しとして、「15万~20万人が集まったとみられる」と伝えている。
独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。
米政府は2日、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)候補を勝者と認定。マドゥロ氏を厳しく非難した。
マチャド氏の陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけているという。
選管はゴンザレス氏の得票率を44%と報告していた。
政府与党と一部の国会議員はゴンザレス氏とマチャド氏が暴力を煽っているとして、逮捕するよう求めている。
選管は欧米と中南米諸国が求める集計結果を公表していない。
マドゥロ氏は有権者に対し、カラカスで3日に予定している政府与党の集会に参加するよう促し、全野党を「ファシスト」と非難した。
マチャド氏が集会に到着すると、支持者たちは国歌を歌い、マドゥロ氏を「詐欺師」「世界最悪の大統領」と呼んだ。
マチャド氏は選管の発表以来、各地で抗議デモが続いていることに言及。「マドゥロの私兵部隊は残忍な取り締まりで国民を威嚇し、麻痺させようとしている」と非難した。
またマチャド氏は「この国を率いるのは独裁者ではなく、国民が選んだ大統領である」と強調した。
マドゥロ政権から15年の選挙出馬禁止令を科されているマチャド氏は7月30日から身を隠していた。
カラカス市内では2日、正体不明の集団が野党事務所を襲撃している。
マチャド氏はマドゥロ政権の不作為がもたらした経済・移民危機を終結させると有権者に約束した。
現地メディアによると、集会終了後、複数のオートバイがマチャド氏を取り囲まれ、マチャド氏はその中の1台に乗り、どこかに姿を消したという。
マチャド氏を支持する一部の陣営は陸軍と警察に対し、同氏とゴンザレス氏の逮捕命令が出ても応じないようSNSなどを使って呼びかけている。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。
米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、マチャド氏が選挙に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。