▽マチャド氏は9日の午後3時20分頃、首都カラカスの集会会場から離れる際に警察の襲撃を受け、どこかに連れ去られた。
ベネズエラの野党指導者マチャド(María Corina Machado)氏の報道官が9日、同氏が逮捕されたという発表を訂正した。
マチャド氏は9日の午後3時20分頃、首都カラカスの集会会場から離れる際に警察の襲撃を受け、どこかに連れ去られた。
AP通信は関係者の話しとして、「治安部隊がマチャド氏の車列に向けて発砲し、車から引きずり出してどこかに連行した」と伝えていた。
しかし、マチャド氏の報道官はその後、同氏が逮捕されたという以前の発表は誤りであると声明を出した。
ソーシャルメディアで拡散した動画には警察官にしか見えない男たちがマチャド氏を取り囲み、どこかに連れ去る様子が映っていた。別の動画にはマチャド氏が支持者に向かって抗議デモを続けるよう叫ぶ様子も映っていた。
マチャド氏は昨年7月の大統領選への出馬を目指したものの、選挙当局の妨害を受け、出馬を断念。スペインへの亡命を余儀なくされたゴンザレス(Edmundo González)氏が代わりに出馬した。
マチャド氏は大統領選後の抗議デモが激化した後、逮捕される恐れがあるとして、身を隠していたが、1月10日の大統領就任式に先立ち、数カ月ぶりに公の場に姿を現した。
マチャド氏の報道官は「治安部隊が車列を妨害し、どこかに連れ去った」と発表。複数のメディアが治安部隊が発砲したことを確認している。
この結果、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、チリ、パナマ、ドミニカ、パラグアイなど、複数の中南米諸国がマチャド氏の逮捕を非難し、即時釈放を呼びかけた。
しかし、それから約1時間後、マチャド氏が集会を出た後に尾行され、財布を落としたという20秒ほどの証言動画がネット上に公開された。
マチャド氏の報道官はその後、ソーシャルメディアへの投稿で、「このビデオメッセージは警察に発言を強要されたもので、それを録画した後、マチャド氏は解放された」と主張した。
また報道官はマチャド氏が誘拐されたという発表について、後ほど経緯を説明するとして、明言を避けた。
マチャド氏は9日遅くにX(旧ツイッター)アカウントを更新。「マドゥロを退陣させるための努力を続けるために、安全な場所にいて、これまで以上の決意を持っている」と表明した。
またマチャド氏は「当局が私を取り押さえた際、人が撃たれた」と述べた。
一方、マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支持者たちはマチャド氏が逮捕されたという発表を否定。「反体制派がフェイクニュースを流して政府を陥れた」と主張した。
大統領府の報道官は9日、警察がマチャド氏を逮捕したというマチャド陣営の発表を否定。「ファシストどもはこの薄汚いやり方で何度も国家転覆を企ててきたが、国民は敵が嘘つきであることを知っている」と主張した。
マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は昨年7月の大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
マドゥロ氏は1月10日の就任式で3期目をスタートさせる予定だ。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。