◎エクアドル警察は今月5日、首都キトの在メキシコ大使館を家宅捜索し、政治亡命を求めていたグラス元副大統領を逮捕した。
ベネズエラのマドゥロ(Nicolás Maduro)大統領は16日、在エクアドル大使館と領事館に閉鎖を命じたと明らかにした。
マドゥロ氏はラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)のオンライン首脳会議でエクアドルを罵倒。「エクアドルの極右政権がメキシコの在外公館を襲撃したのだ」と吠えた。
エクアドル警察は今月5日、首都キトの在メキシコ大使館を家宅捜索し、政治亡命を求めていたグラス(Jorge Glas)元副大統領を逮捕した。
グラス氏は昨年12月、汚職容疑で逮捕状が出たことを受け、在メキシコ大使館に逃げ込んだ。申請していた政治亡命は4月5日に認められた。
グラス氏は2016年の大地震後の復旧・復興活動を主導した際、複数の汚職に関与したとされ、他の贈収賄事件でも有罪判決を受けている。
各国政府はこの極めて異例な武力行使を即座に非難。在外公館は外国領土であり、ウィーン条約により「不可侵」とされている。
ノボア(Daniel Noboa)大統領は「国家の安全を守るために襲撃を許可した」と主張。「重大犯罪で有罪判決を受け、指名手配されている容疑者の亡命を許可することはウィーン条約違反である」と述べた。
メキシコはこの捜索に怒りを表明。エクアドルとの国交を断絶した。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は16日の定例会見で、「エクアドルが謝罪し、大使館襲撃でメキシコの主権を侵害したことを認めるまで、エクアドルを国連から一時的に除名するよう求めている」と強調した。
国連除名は制度としては可能だが、5大国(米中露英仏)の一致という政治的条件を揃える必要があるため、実際には不可能に近い。ウクライナはロシアの除名を求めている。