ベネズエラ、国際航空6社の運航権を剥奪、米国との緊張高まる中
対象となったのはイベリア(スペイン)、TAPポルトガル(ポルトガル)、アビアンカ(コロンビア)、ラタム(チリ/コロンビア系)、トルコ航空(トルコ)、およびゴル(ブラジル)である。
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ベネズエラ政府は27日、6つの国際航空会社に対し、同国の運航権を取り消すと発表した。
対象となったのはイベリア(スペイン)、TAPポルトガル(ポルトガル)、アビアンカ(コロンビア)、ラタム(チリ/コロンビア系)、トルコ航空(トルコ)、およびゴル(ブラジル)である。
これらの航空会社は米連邦航空局(FAA)がベネズエラの空域が「軍事活動の増加と治安の悪化」により「潜在的な危険地帯」であるとして注意喚起を出したことを受け、ベネズエラへのフライトを停止していた。
これに対し、ベネズエラ政府は「米国が主導するテロ行為の片棒を担った」と非難し、各社に対し「48時間以内に飛行を再開せよ」と通告していたが、期限内に従わなかったため運航権を剥奪した。
ベネズエラ政府は声明で、航空会社が「一方的に」商業便を停止したことを理由に挙げ、これを「米国による圧力の一環」「主権への侵害」と批判した。
一方、影響を受けた航空関係者や各国政府からは、この決定は安全性への懸念を理由に飛行停止をしたに過ぎず、「過剰かつ不釣り合い」だとの非難も上がっている。
ポルトガルの外相はこの措置を「完全に不釣り合い」と呼んだ。
この措置により、ベネズエラの国際線ネットワークは大幅に縮小される。現在でも航空会社の多くが運航を見合わせており、ベネズエラと地理的・経済的に結びつきの強いスペイン、ポルトガル、コロンビア、ブラジルなどからのアクセスが大きく制限される見込みだ。
ただし、すべての航空会社が運航権を失ったわけではない。たとえば中南米やカリブ地域を拠点とするコパ航空(パナマ)やウィンゴ航空(コロンビア)のような一部の国際線および、国内線や近隣国へのフライトを行うローカル航空会社は、引き続きベネズエラ路線を維持している。
今回の剥奪は米国とベネズエラの関係悪化を象徴する動きである。
米海軍は9月、外国テロ組織に指定されているベネズエラの麻薬組織トレンデアラグアが運航する麻薬輸送船を空爆し、構成員11人を殺害。その後、さらに19隻の麻薬密輸船を爆撃した。
一連の攻撃による死者は80人にのぼっている。
トランプ(Donald Trump)米大統領は麻薬カルテルと戦争状態にあると宣言し、それをテロ組織に指定することで、一連の攻撃を正当化してきた。
これはジョージ・W・ブッシュ政権がテロとの戦争に使用したのと同じ法的権限に基づいている。
ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は麻薬密輸船に対する攻撃を非難し、国連安全保障理事会に米国を止めるよう求めている。
