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ベネズエラ国民議会が恩赦法案の審議再開、政治犯釈放なるか

法案は過去27年間の与党による弾圧の対象となった野党議員、活動家、人権擁護者、ジャーナリストらを対象にし、国外に逃れた者や拘束を免れた者も含めるかどうかを巡って議会内で意見対立が続いている。
南米ベネズエラの国民議会(Getty Images)

ベネズエラの国民議会(一院制、定数277)は19日、政治的理由で拘束されている数百人の政治犯に恩赦を与える法案の審議を再開する予定である。法案は過去27年間の与党による弾圧の対象となった野党議員、活動家、人権擁護者、ジャーナリストらを対象にし、国外に逃れた者や拘束を免れた者も含めるかどうかを巡って議会内で意見対立が続いている。審議は先週、対象範囲や適用条件をめぐる意見の相違により中断されていた。

法案はロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領が提案。現在の法制度では国外にいる被告人を裁判なしに恩赦対象とすることは認められていないため、与党内からは「まず裁判所に出頭すべきだ」との主張が根強い。一方で反対派は、被告人の多くが有罪確定前に法的支援なしで長期間拘束されているとして、司法制度の偏向性や人権侵害の問題を指摘している。

この恩赦法案は国際社会の注目も集めている。2024大統領選挙後、2000人以上が拘束されたとの報告があり、国際人権団体や野党勢力は恩赦の実施を長年求めてきた。首都カラカスに拠点を置く人権団体フォロ・ペナル(Foro Penal)は政治的理由で拘束されているる人々が600人以上存在すると推計している。

法案の目的は1999年以降の政治的対立に関連した「政治動機の暴力行為」などの犯罪や違反に対して、「包括的かつ完全な恩赦」を与えることであり、特定の政治時期に関連する逮捕者も対象に含めるというものだ。しかし、議員間では国外逃亡者や国内で隠れている被告人を含めるかどうかで意見が割れている。与党側は「法的手続きが必要」と主張し、法が出頭なしの恩赦を認めない点を強調している。これに対し、野党や人権擁護団体は法廷にまともな弁護人もなく、証拠開示もされないケースが多いことを問題視している。

法案審議は一部の段階を通過しているものの、採決には至っておらず、審議再開後の展開が注目される。恩赦法案を巡る動きは、米国による前大統領拘束や制裁緩和の動きとも絡み、ベネズエラの政治・社会情勢を大きく揺るがしている。恩赦が実現すれば、野党支持者や人権活動家らの釈放につながる可能性があるものの、その対象範囲や手続きの公正性については依然として大きな懸念が残る。

こうした中、釈放を待つ家族らが拘置所前で座り込みやハンガーストライキを行うなど、法案の進展を強く求める社会的圧力も高まっている。議会内では賛成と反対の対立が激しく、今後の審議結果によっては国内の緊張が一段と高まる可能性がある。

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