ベネズエラ政府、大統領選後の抗議活動で拘束された99人を釈放
ベネズエラ政府は世界や国内に対して和解や法の支配へのコミットメントを示す意図があるとしている。
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ベネズエラ当局は12月26日、昨年行われた大統領選挙後の抗議活動で拘束された99人を釈放したと発表した。当局は各事件を個別に評価し法に基づいた予防的措置を付与した結果として、この99人の解放に至ったとSNSで説明している。これらの人々は「2024年選挙後の暴力行為や憎悪扇動への関与」によって拘束されていた。
ベネズエラ政府は世界や国内に対して和解や法の支配へのコミットメントを示す意図があるとしている。
一方で市民団体や人権団体は政府発表の数字に疑問を呈している。首都カラカスに拠点を置くNGO「社会活動家と政治囚の自由委員会」は公式の99人という数字は実際の解放者数と一致しない可能性があると指摘しており、独自に確認できたのは45人だけだと報告している。その内訳は27人の男性、15人の女性、3人の10代の若者で、いずれも「政治的理由で恣意的に拘束されていた」とされる。
2024年7月に実施された大統領選挙では独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が勝利したとされるが、野党や国際的な選挙監視団体、そして米国を含む複数の西側諸国は不正があったとして結果を認めていない。選挙結果を巡って国内では大規模な抗議デモが広がり、政府側はこれを「反乱」や「暴力行為」と位置付けて弾圧した。政府発表によると、抗議行動に関連して2000人以上が拘束された。
この数年にわたる政治的混乱と抗議活動に対しては国内外から批判が強く、国際的な人権団体もベネズエラ政府に対し、恣意的な拘束や報道・表現の自由への圧力について懸念を表明している。釈放された人々の多くは条件付きの釈放であり、再び拘束される可能性や、旅券差し止めなどの制限が付されるケースもあると指摘されている。
また、国際社会からの圧力も高まっている。特に米国は同国周辺海域への軍事展開や原油輸送阻止を含む強硬な対ベネズエラ政策を進めており、マドゥロ政権に退陣を促す発言を繰り返している。これらの動きが今回の釈放に影響を与えた可能性を指摘する見方もあるが、政府当局は外圧を理由にはしていない。
依然として多数の政治的拘束者が国内に残っているとの報告があり、人権団体は包括的な釈放や法的保護の強化を求めている。ベネズエラ社会における民主主義と人権の状況は依然として厳しく、今回の釈放が真の政治的和解につながるかどうかは不透明である。
