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ベネズエラ政府、米国からの移民送還便の受け入れ再開へ

送還便は米国のチャーター便運航会社が運航し、出発地はアリゾナ州フェニックス、到着地は首都カラカスの国際空港になる。
2024年8月1日/ベネズエラ、首都カラカス、大統領選の結果に抗議するデモ隊(AP通信)

南米ベネズエラ政府は2日、米国からの移民強制送還便の受け入れを再開することを承認した。これは、米側による送還プログラムの再開を受けたもので、運輸省が米政府からの正式な再開要請を受けたとを明らかにした。

送還便は米国のチャーター便運航会社が運航し、出発地はアリゾナ州フェニックス、到着地は首都カラカスの国際空港になる。

ベネズエラ政府は先週末、一時的に送還便の受け入れを停止していた。きっかけはトランプ(Donald Trump)米大統領がベネズエラの「領空を全面的に閉鎖すべきだ」と発言したことで、実質的な飛行停止と受け取ったためだ。これにより、米政府との間で緊張が高まっていた。

ベネズエラ政府は声明の中で、送還便を受け入れることが米側との「協力の継続」を示すものであると説明した。

今年に入ってから、ベネズエラ移民の帰還便は比較的頻繁に運航されていた。2月から11月にかけては週に2便のペースで運航され、約1万4千人のベネズエラ人が帰国した。

今回、運輸省が米国からの再開要請を受理し、着陸を認めたことで、送還便プログラムは再び動き出す見通しとなった。運航会社と経路も明示されたことで、近くフェニックス発–カラカス着の便が飛ぶ見込みである。

この動きは、米国とベネズエラの間で深化する外交的・移民政策の緊張の中でも、実務的な協議ややりとりが継続していることを示す象徴的な出来事だ。両国はこれまで度々、ベネズエラからの不法移民や犯罪組織関係者の送還を巡り対立してきたが、少なくとも「送還便の再開」に関しては合意が図られた形となる。

ただし、ベネズエラ国内ではこの合意に対して賛否両論がある。国内の治安や政治状況、帰還者の扱い、国際的批判など、多くの不透明要素が残っている。特に、送還されるベネズエラ人の多くが経済的理由や政治的混乱から米国へ流出した市民である点を考えれば、彼らの帰国後の受け入れ体制や暮らしの再建が大きな課題となる可能性がある。

今後は実際にどのような人物が送還され、ベネズエラ国内でどのように処遇されるか、また両国間のさらなる交渉や法的・人道的な議論がどのように進むかが注目される。

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