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ベネズエラ国民議会が「恩赦法案」可決、政治犯釈放へ

法案は1999年以降の政治的対立に絡む罪や公訴について「一般かつ全面的な恩赦」を付与する内容を盛り込んでおり、政治家や活動家、人権擁護者、弁護士、ジャーナリストら多数に恩赦適用が見込まれている。
2026年2月19日/ベネズエラ、首都カラカスの国民議会(AP通信)

ベネズエラの国民議会(一院制、定数277)は19日、政治目的で拘束された多数の政治犯の釈放につながる可能性のある恩赦法案を賛成多数で可決した。同法案はロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領が同日に署名・成立した。法案は1999年以降の政治的対立に絡む罪や公訴について「一般かつ全面的な恩赦」を付与する内容を盛り込んでおり、政治家や活動家、人権擁護者、弁護士、ジャーナリストら多数に恩赦適用が見込まれている。これにより、長年政府が政治犯を拘束しているとの国際的批判に事実上応じた形となった。

この転換は、前大統領が1月3日に米軍の作戦で拘束された後の大きな政策変更の一環として実現した。政府はこれまで長期間にわたって政治目的の拘束を否定し続けてきたが、恩赦法の成立はその姿勢を明確に転換したと受け止められている。恩赦法は国家の政治的寛容を示す一歩と位置付けられるが、法の範囲や適用方法を巡り懸念や批判も出ている。

恩赦法は、1999年にウゴ・チャベス政権が発足して以降の政治的対立が絡む事件を対象とし、2024年大統領選挙後の抗議活動などに関連する拘束も含む。選挙後の混乱では2000人以上が逮捕され、その中には未成年者も含まれていたと報じられている。恩赦適用対象にはこうした「政治的動機による暴力行為」も含まれ、反政府派の多くが恩赦の恩恵を受ける可能性がある。

議会での審議中には、国外に逃れている人々も恩赦を受けられるかが争点となったが、最終的に国外在住者は直接帰国せずとも代理人を通じて恩赦申請が可能とする規定が盛り込まれた。ただし、重大な人権侵害や殺人、薬物取引、汚職などの罪で有罪判決を受けた者は恩赦の対象外とされ、適用範囲に制限が設けられている。

恩赦法成立を受け、ある野党議員は「完璧ではないが、多くのベネズエラ人の苦しみを軽減する大きな前進だ」と述べた。一方で人権団体や被拘束者の家族らは釈放のペースが遅いことや、出所後の条件が過度に制限的である点を批判している。特に釈放された後も政治的権利の回復や社会的復帰に課題が残るとの指摘が根強い。

ベネズエラ国内では恩赦法成立を歓迎する声がある一方で、改革の実効性や司法制度の信頼性に疑問を投げかける声も上がっている。人権団体フォロ・ペナル(Foro Penal)によると、1月8日以降、448人が釈放されたが、それでも600人以上が政治的理由で拘束されたままであるという推計が出されている。

恩赦法はベネズエラ政治の大きな転換点として注目されるが、政治的抑圧の歴史や国内外の懸念を踏まえると、今後も実施状況や恩赦対象の拡大を巡る議論が続く可能性がある。

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