ベネズエラが石油産業改革に着手、首都カラカスで署名式
今回の法改正は国家が主導してきた石油産業の統制を緩める内容で、これまで国営石油会社PDVSAが主要な利権と生産の中心だった体制を転換する。
と支持者たち(AP通信).jpg)
ベネズエラのロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領は29日、同国の石油産業法を大幅に改正する法案に署名し、長年続いた国有支配の緩和を正式に決定した。この改革は民間および外国資本の投資を呼び込むことを目的としており、ベネズエラ最大の産業である石油部門の構造改革を象徴するものとなる。
今回の法改正は国家が主導してきた石油産業の統制を緩める内容で、これまで国営石油会社PDVSAが主要な利権と生産の中心だった体制を転換する。ロドリゲス氏は署名後、首都カラカスで開催された式典で「この改革は我が国の経済を再活性化し、国際的な投資を呼び込む道を開く」と述べた。
新法では民間企業が油田の開発・生産および販売に直接関与できるようにするための規定が盛り込まれた。これにより、外資系企業も従来より柔軟な条件でベネズエラの資源にアクセスできるようになる見込みである。また、紛争が発生した場合にベネズエラ国内の裁判所だけでなく、国際的な独立仲裁を利用できる条項も導入され、投資家保護の強化が図られた。
税制面でも見直しが行われ、石油採掘にかかる税率に上限を設けるとともに、事業ごとの投資額や競争力に応じて政府が柔軟に税率を設定できる仕組みが導入された。具体的には、ロイヤルティ(採掘権使用料)の上限を30%に設定しつつ、プロジェクトの性格に応じて税負担を調整することが可能となる。これにより、国際的な石油企業が長期的な投資を検討する際の不確実性を低減する狙いがある。
ベネズエラでは過去20年以上にわたり、故チャベス(Hugo Chávez)元大統領が石油資源の国有化を進め、PDVSAの主導権を強化してきた歴史がある。しかしその後、油価の低迷や管理不全、欧米諸国による制裁の影響などで生産力は大幅に低下し、経済全体の悪化を招いていた。こうした状況を受け、ロドリゲス暫定政権は構造改革を通じて市場の信頼を回復し、産業の再建を図る必要に迫られていた。
与党議員は今回の改革について「ベネズエラの経済を変える歴史的な一歩だ」と支持を表明した。一方で野党は透明性の確保や説明責任の強化を求め、資金の流れや政策決定のプロセスを公開するための仕組み作りを訴えた。こうした内部からの批判は、長年の腐敗と情報不透明が投資家からの信頼を損なってきたという現実を反映している。
国際的には、米国をはじめとする主要エネルギー企業が再参入に向けた期待を示している。特に米国の大手石油企業は過去の国有化で失った投資回収の可能性を探る動きを見せており、今回の改革が実際の資本流入につながるかが注目される。ただし専門家の間では、法制度の安定性や透明性の不足を指摘する声もあり、本格的な復権には更なる法整備と政治的安定が不可欠との見方もある。
この新法の施行はベネズエラがこれまで堅持してきた資源ナショナリズムから転換し、外資誘致を進める重要な転機となる。その成否は、同国の経済再建と国際社会との関係改善に大きな影響を与える可能性がある。
