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アルゼンチン政府、米国向け融資枠を返済=米財務長官

この返済は長引く経済危機からの立て直しを目指すミレイ大統領にとって重要な節目となる。
アルゼンチンのミレイ大統領(Getty Images)

ベッセント(Scott Bessent)米財務長官は9日、アルゼンチン政府がトランプ政権下で設定された200億ドルのクレジットライン(通貨スワップ枠)から引き出した資金を全額返済したと発表した。この返済は長引く経済危機からの立て直しを目指すミレイ(Javier Milei)大統領にとって重要な節目となる。

ベッセント氏はアルゼンチンが通貨スワップ枠から引き出していた資金を「迅速かつ完全に」返済したと明らかにした。具体的な金額は示されていないものの、アルゼンチン中央銀行が昨年10月末までにペソを米ドルと交換して約25億ドルを利用していたという報告がある。アルゼンチン中銀もこの発表を確認した。

この支援は2025年10月の中間選挙を前に市場の急落を食い止める目的で実施されたもので、ドル流動性を提供してアルゼンチン経済を安定させる役割を果たした。通貨スワップの提供は異例の措置となり、米国内では税金を危険にさらすとの批判もあったが、今回の返済によって米政府が損失を出さずに取引を完了したとの評価も出ている。

ミレイ氏の急進的な自由主義政策は、深刻な経済状況下で批判と支持を同時に受けている。米国の支援を受けて実施された財政緊縮策や市場改革が支持基盤を強化し、選挙での勝利につながったとみられている。またミレイ政権は昨年、8年ぶりにドル建て債券を発行し、国際債券市場への復帰を果たすなど、対外資金調達環境の改善を目指している。

ベッセント氏はこの返済を「ラテンアメリカにおける安定した強いアルゼンチンが西半球の繁栄を支える」と評価し、米側の支援が正当化されたとの見解を示した。一方、アルゼンチン経産省も、米政府が同国の経済政策に信頼を寄せていることへの感謝の意を表明した。

しかし、アルゼンチン経済は依然として厳しい状況にあり、外貨準備高は低水準に留まっている。国際通貨基金(IMF)との既存の借入返済や民間債務の償還が今後数カ月、重荷となる見込みで、短期的な外貨資金繰りの改善は続く課題だ。議論では、スワップ返済のための資金調達手段や追加的な国際支援策の必要性も指摘されている。

今回の返済は、アルゼンチンの国際的な信用回復の一歩として歓迎されるが、経済改革の実効性や持続可能な成長戦略については依然として不確実性が残る。ミレイ政権が今後どのようにして経済基盤を強化し、長期的な安定を実現していくのかが引き続き注目される。

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