米国連大使「ベネズエラ政府と麻薬カルテルの資金源を断つ」
米国はこの数カ月、ベネズエラ沖や東太平洋地域で米国内に違法薬物を持ち込むとされる船舶への攻撃を展開してきた。
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米国は23日、国連安全保障理事会の場で、ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領と麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス(太陽のカルテルの意)」の資金源を断つため、制裁を最大限に強化・履行すると表明した。
米国のウォルツ(Mike Waltz)国連大使は理事会で「この半球、われわれの近隣諸国、そして米国にとって最も深刻な脅威は、国境を越えて活動するテロリストや犯罪組織だ」と述べ、マドゥロ政権とカルテルの結びつきを強く非難した。
米国は最近、制裁対象の石油タンカーの封鎖や拿捕(だほ)を進め、同政権の経済的生命線を断つ取り組みを加速している。
ウォルツ氏によると、米沿岸警備隊は今月に入りカリブ海でベネズエラ産原油を積んだタンカー2隻を拿捕し、さらに別の船舶を追跡している。米国はこれらのタンカーがマドゥロ政権とカルテル・デ・ロス・ソレスの主な資金源であるとし、これを断つことが同政権の財政基盤を削ぐ鍵であると主張している。また米国はカルテル・デ・ロス・ソレスを外国テロ組織に指定し、その活動を制裁対象とした。
一方、ベネズエラ政府はカルテル・デ・ロス・ソレスの存在自体を否定し、米国の措置を「不合理で根拠のない軍事的侵略」と強く非難した。ベネズエラの国連大使は理事会で「カリブ海に戦争はなく、国際的または国内的な武力紛争も存在しない」と述べ、米国が自衛の名目で行っている行動の正当性を否定した。
この日の理事会では、ロシアと中国も米国を批判した。ロシアの国連大使は米国の行動が他のラテンアメリカ諸国に対する「将来の武力行使の前例になりかねない」と警告した。また、中国大使も米国に対して「関連する行動を直ちに停止し、緊張のさらなるエスカレーションを避けるよう」求めた。これに対し、米国側は当該の非難に対する直接の反論を控えた。
米国はこの数カ月、ベネズエラ沖や東太平洋地域で米国内に違法薬物を持ち込むとされる船舶への攻撃を展開してきた。米政権はこれらの軍事・経済的圧力策を通じ、マドゥロ政権の資金循環を遮断し、麻薬や犯罪組織への支援を断つ意図があるとしている。ただし、国際社会では米国の措置が地域の安定と国際法に与える影響について懸念が広がっており、今回の国連での議論はその緊張の表出の場となった。
今回の安保理会合はベネズエラ側の要請で開催されたもので、10月にも同様の緊迫した議論が行われている。米国は前回も自国の行動は国連憲章第51条に基づく自衛措置であると説明し、理事会への情報提供を行っていた。今回の会合では米国が制裁強化の姿勢をあらためて打ち出した形となった。
