米海軍、ベネズエラ沖で3隻目の石油タンカー追跡中、拿捕へ
このタンカーは制裁リストに載っているとされるが、具体的な位置や船名は明らかになっていない。
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米政府がベネズエラ沖の国際水域で3隻目の制裁対象石油タンカーの追跡を進めている。現地メディアが21日に報じた。
それによると、このタンカーは制裁リストに載っているとされるが、具体的な位置や船名は明らかになっていない。これまでの追跡・拿捕作戦はトランプ政権による先週の封鎖宣言を受けた取り締まりの一環とである。
米沿岸警備隊(USCG)はこの1週間で3度にわたり制裁対象タンカーに対する行動を実施しており、今回の追跡も今週末の2隻目の拿捕に続くものだという。
ロイター通信は米当局者の話しとして、「封鎖の徹底と違法な原油輸送の阻止を優先している」と報じた。ホワイトハウスは21日時点でこの件についてコメントしていない。
この動きはトランプ(Donald Trump)大統領が16日に発表したベネズエラへの制裁対象タンカーの「封鎖」命令 を受けたもので、米海軍が軍事的・海上行動を強化している。封鎖命令は制裁対象タンカーがベネズエラの原油輸送を通じて同国政府の収入源を維持しているとして、それらの船舶の進入・出航を阻止することを目的としている。
今回追跡が報告されたタンカーを含め、これまでの作戦ではすでに少なくとも2隻のタンカーが拿捕されている。ノーム(Kristi Noem)国土安全保障長官は沿岸警備隊が国防総省の支援を受けて「麻薬テロ資金源となる制裁対象の原油の不正輸送を阻止する」とX(旧ツイッター)で説明している。
これらの米国の海上行動に対し、 ベネズエラ政府は強く反発している。同国は先のタンカー拿捕を「国際的な海賊行為」と非難し、国際連合安全保障理事会や多国間機関に正式に訴える意向を示した。ベネズエラ側の公式声明では、米軍が民間船舶を不当に拿捕し、乗組員の安全を無視した行為は容認できないとしている。
米側はこれらの制裁措置と海上行動がベネズエラ政府、とりわけ独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領への圧力を強化することを狙ったものだと説明している。トランプ政権はベネズエラを「外国テロ組織」と見なし、原油収入を制限することが政権の資金源を断つ構えだ。
一方で、こうした米国の海上行動は地域の緊張を高めつつあり、 中南米の主要国からも懸念の声が上がっている。ブラジル政府は米国の対ベネズエラ介入について「人道的な惨事を招く可能性がある」と警告するなど、拿捕行為が国際的な議論を呼んでいる。
こうした状況下で、米国の追跡対象となっている3隻目のタンカーが今後どのような展開を迎えるのか、またこれが国際海上法や地域外交にもたらす影響は大きく、引き続き注視が必要である。
