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米海軍が麻薬密輸船5隻を攻撃、8人殺害、ベネズエラ政府への圧力強化

今回の攻撃を含め、 25年9月以降に行われた同様の作戦は35件に達し、少なくとも115人が死亡している。
2025年12月29日/米フロリダ州パームビーチ、トランプ大統領(AP通信)

南方軍(U.S. Southern Command)は25年12月31日、麻薬密輸に関与したとされる船舶5隻に対して攻撃を実施し、8人を殺害したと発表した。それによると、攻撃は12月30日と31日の2日間にわたって行われたという。具体的な攻撃地点は明らかにしていない。今回の攻撃は同軍がカリブ海と東太平洋でこれまでに実施してきた一連の麻薬取締め作戦の一環と位置付けられている。

声明によると、 12月30日の攻撃では3隻の船が連なって航行している映像が公開され、これらの船舶が既知の麻薬密輸航路をたどり、互いに薬物を移し替えていた疑いがあるという。最初の攻撃で3人が死亡、残る2隻の船では乗員が海に飛び込んだ後、攻撃が続けられたという。海に飛び込んだ者たちが救助されたかどうかは明らかになっていない。米軍は攻撃後に沿岸警備隊に通報、捜索救助を要請したとしている。

続く31日の攻撃では、別の2隻が標的となり、5人が死亡したとされる。これらの攻撃は全て米軍が「麻薬密輸に関与している」と判断した船舶に対して行われているが、その証拠は示していない。声明では、対象となった船舶の乗員を「麻薬関係者」と断定している。

今回の攻撃を含め、 25年9月以降に行われた同様の作戦は35件に達し、少なくとも115人が死亡している。トランプ(Donald Trump)大統領は麻薬カルテルとの「武力紛争」を理由に、攻撃を正当化してきた。

一方で、 これらの攻撃は国内外で法的・倫理的な批判を招いている。民主党議員や法律専門家は、米軍が国際水域で民間人を殺害している可能性を指摘し、違法な武力行使だとの懸念を示している。また、攻撃後に海に逃れた生存者に対して追撃を行ったケースもあるとされ、その是非を巡って議論が続いている。

さらに、これらの航空攻撃や海上攻撃に加えて、 中央情報局(CIA)がベネズエラ国内の港湾施設に対してドローン攻撃を実施したとの情報もあり、作戦は海上だけでなく陸上にも拡大しているとされる。この港湾施設は麻薬積み込み拠点として機能していた疑いがあり、攻撃はベネズエラ政府への圧力強化の一環とされる。ただし、米政府は詳細な説明を控えている。

米軍の作戦は、麻薬取引の阻止と国境の安全保障強化を目的としているが、国際社会や人権団体からは軍事的アプローチの限界と法的根拠の不透明さを指摘する声が根強い。今後も捜査や議論が続く見込みである。

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