米海軍のF/A18戦闘機がベネズエラ湾を飛行、独裁政権への圧力強める
これまでにも、米軍は同地域で重爆撃機(B52やB1など)を展開してきたが、今回のようにベネズエラ海域の最奥部に近づいた飛行は過去に例がない。
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米軍は9日、海軍のF/A18戦闘機(スーパーホーネット)2機がベネズエラ湾上空を飛行したと明らかにした。この飛行はトランプ政権がベネズエラに対する圧力を強めて以降、米軍機が同国の領空に最も近づいた事例とみられており、地域情勢のさらなる緊迫化が懸念されている。
公的なフライト追跡サイトでは、2機のF/A18が北西部のベネズエラ湾を30分以上にわたって飛行していた記録が確認された。AP通信は防衛当局者の話しとして、今回の飛行について「定期的な訓練飛行」であり、「挑発を目的としたものではない」と報じている。
なお、戦闘機が武装していたかどうかは明言を避けたものの、いずれも国際空域に留まっていたとしている。
これまでにも、米軍は同地域で重爆撃機(B52やB1など)を展開してきたが、今回のようにベネズエラ海域の最奥部に近づいた飛行は過去に例がない。このため、一連の米軍の動きは、単なる麻薬密輸対策や海上警戒を超えた軍事プレゼンスの誇示、あるいは圧力として受け止められている。
現在、米国は中南米海域で大規模な軍事作戦を継続中であり、麻薬密輸船を標的とする攻撃などを行ってきた。これら作戦では、過去数か月で多数の死者が出ており、米議会からもその合法性や透明性について追及が強まっている。
一方、ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolás Maduro)大統領は今回の米軍機による飛行を含む一連の動きを「政権転覆を狙った挑発」と非難している。
米側としては、F/A18による飛行は「国際法に基づく合法的かつ定期的な任務」と位置づけており、飛行経路は国際空域だったと強調している。だが、この種の飛行がベネズエラとの対立関係に新たな火種を投じかねないとの懸念は根強い。
今回の飛行は米軍がベネズエラ近辺で過去数か月間にわたって強化してきた海上・空中作戦の延長にあたる。今後、米側がさらに圧力を強めるのか、あるいは外交的緊張が高まる前に軟着陸を図るのか、国際社会の注目が集まっている。
