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米軍、インド洋で石油タンカー拿捕、「影の船団」対策

国防総省によると、このタンカーはベネズエラの原油・燃料油を積載して1月3日に同国を出港したとみられ、積荷は約200万バレルに上るとのデータが公開されている。
米バージニア州の国防総省(Getty-Images)

米国防総省は15日、米軍がパナマ船籍の石油タンカー「ベロニカ3(Veronica III)」をインド洋で臨検・乗船したと発表した。米軍はこの船をカリブ海から追跡した末に確保したとしており、ベネズエラ産原油をめぐる制裁回避を阻止する取り組みの一環と位置づけている。

国防総省によると、このタンカーはベネズエラの原油・燃料油を積載して1月3日に同国を出港したとみられ、積荷は約200万バレルに上るとのデータが公開されている。タンカーは米国の制裁を回避するために虚偽の旗を掲げるいわゆる「影の船団」の一員として運航され、ロシアやイランとの原油取引にも関与していたとみられている。

米国はこの数カ月、ベネズエラ産原油に対する制裁を強化。トランプ(Donald Trump)大統領は昨年12月に制裁対象タンカーに対する「隔離」を指示していた。これは制裁対象船を港湾外や制限海域で監視し、違法輸送を抑止するもので、1月にベネズエラ大統領が米軍の軍事作戦で拘束された後、多数の制裁船がベネズエラ沖から逃走していた。

今回の追跡はその最終段階として行われた。国防総省はX(旧ツイッター)への投稿で、「このタンカーはトランプ大統領の隔離措置に反抗し逃走を試みたが、米軍がカリブ海からインド洋まで追跡し、距離を詰めて阻止した」と説明した。乗船時の映像も公開され、米兵が甲板に降り立つ様子が確認された。

タンカー今後どのような扱いになるかについて国防総省は明言していないが、先週には別の制裁対象船もインド洋で拿捕されており、米側は処遇の決定を進めていると見られる。

このような介入は米国がベネズエラの石油産業とその供給網を管理しようとする大規模な戦略の一部である。米国は長年、ベネズエラの産油と販売を巡る不正輸送を阻止するため、制裁の強化や海上監視の拡大を進めてきたが、今回はその地理的範囲が大きく広がった形だ。

国際海域での臨検・乗船作戦は国際法上の問題も含み、他国からの批判や外交的な影響が予想されるが、米側は制裁違反摘発の正当性を主張している。米海軍や海兵隊がどのように船舶の管理権を行使し、積荷や航行履歴を精査するかは、今後の国際エネルギー市場と政治的対立にも影響を与え得る。

米軍による追跡と乗船は、ベネズエラの原油輸出を一層困難にすると見られる一方で、制裁対象船の隠蔽行動は継続しており、米国は今後も追跡と介入を続ける姿勢を示している。

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