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米海軍、ベネズエラ沖で原油タンカーを押収、制裁対象

今回の措置は米国がここ数か月続けてきた、ベネズエラに対する圧力キャンペーンの一環だ。
米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は10日、ベネズエラ沖で米軍が原油タンカーを差し押さえたと明らかにした。沿岸警備隊が主導し、海軍が支援したという。

報道によると、差し押さえられたタンカーは「スキッパー号(Skipper)」と特定された。イランの石油取引に関与し、米国の制裁対象となっていた船だという。

今回の措置は米国がここ数か月続けてきた、ベネズエラに対する圧力キャンペーンの一環だ。9月以降、カリブ海・東太平洋には米海軍の空母や艦船、1万人規模の部隊が配備され、麻薬密輸船を攻撃し、これまでに80人を超える死者が出ている。

トランプ政権はこうした軍事・海上作戦に加え、ベネズエラ産原油に対する制裁を通じて、同国の収入源を削ぎ落してきた。今回のタンカー差し押さえは締め付けの一環である。

この発表を受け、世界の原油市場は反応し、先物価格がやや上昇。これは、ベネズエラからの供給削減の可能性を警戒した動きとされる。

一方で、今回の差し押さえが国際法や海上法に照らして適法かどうか、法的根拠を巡る議論も出ている。米国内では過去数か月間に実施された麻薬密輸船への攻撃についても、議会から映像の公開や透明性を求める声が上がっており、今回のような作戦の正当性に対する注目が高まっている。

ベネズエラのマドゥロ政権はコメントを出していないが、今回の行動は両国間の緊張を一段と高める可能性がある。石油輸出に依存するベネズエラにとって、国際的な圧力と収入源の締め付けは、経済および政治のさらなる不安定化につながるとの見方もある。

米国が差し押さえたタンカーの今後の扱いや、その先にある政策/軍事行動の行方は不透明だ。国際社会、特に石油市場および中南米情勢に注目が集まる中、この動きが新たな地政学リスクを生むきっかけとなる可能性がある。

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