米財務省、コロンビアの麻薬カルテル「ガルフ・クラン」を外国テロ組織に指定
米国は同組織が麻薬や移民の密輸ルートを支配・運用し、米国内外で重大な犯罪活動を展開してきたとして、その危険性を強調している。
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米財務省は16日、コロンビアの悪名高い麻薬カルテル「ガルフ・クラン(クラン・デル・ゴルフォ、CDG)」を外国テロ組織に指定したと発表した。
この指定により、同組織に対する資産凍結や金融取引の禁止、支援者への刑事追及などが強化される見込みである。
この措置はコロンビアや国際社会に対する同組織の深刻な影響を踏まえたもので、米政府は同組織を「国家安全保障に対する重大な脅威」と位置付けている。
CDGは長年にわたり麻薬密輸や武力闘争を中心に勢力を拡大してきた。近年は自らを「コロンビアのガイタニスト軍」と称し、組織的な暴力や恐喝、地域住民への威圧を強めていると指摘されている。
米国は同組織が麻薬や移民の密輸ルートを支配・運用し、米国内外で重大な犯罪活動を展開してきたとして、その危険性を強調している。
財務省によると、今回の指定は同組織が単なる犯罪組織ではなく、政治的・軍事的手法を用いて地域の統制を進めてきた点が評価されたという。指定に伴い、財務省は関係者の資産を凍結し、米国民や企業との取引を禁止する措置を取る。また、同組織への支援や協力がテロ支援とみなされる可能性が高まるため、金融機関や国際的な機関にも影響が及ぶことになる。
この動きは麻薬組織への対策を強化してきたトランプ政権下で実行された。ラテンアメリカの他の犯罪組織もテロ指定する動きを進めており、CDGの指定もその一環とみられる。指定は外交および法的な手続きに基づき行われ、国務長官や財務長官らが関与して決定された。
一方、コロンビア政府は国内で同組織と和平交渉を進めており、指導者の投降や武装解除を含む可能性のある合意に向けて協議を重ねている。政府はCDGの構成員約9000人を対象に、社会復帰やコカ農家への支援を含む包括的な和平計画を提示しているが、停戦合意や具体的な進展はまだ報告されていない。
米国のテロ指定は国際的な麻薬取引や暴力への対応をめぐる政策の転換点となる。犯罪組織を従来の「違法集団」から「外国テロ組織」と位置付けることで、米国は国内外での捜査や資産凍結協力の法的根拠を強化しようとしている。専門家はこの措置が同組織の資金源を断つ一方で、コロンビア政府と米国の対立や地域の政治的緊張を高める可能性も指摘している。
CDGの指定は国際社会に影響を及ぼす見込みであり、同組織への支援や共謀に関わる個人・団体への監視が強化される。米政府は引き続き国際的な協力を進め、麻薬取引や組織犯罪の根絶を目指す意向を示している。
