米政府、ベネズエラ大統領逮捕の報奨金5000万ドルに引き上げ

マドゥロ氏は第一次トランプ政権時の2020年、麻薬密売やテロリズムなどに関する共謀罪で、マンハッタン連邦裁判所において、複数の同盟者たちとともに起訴された。
2025年7月28日/ベネズエラ、首都カラカス、演説するマドゥロ大統領(AP通信)

米政府は7日、ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領にかけている報奨金を5000万ドルに引き上げた。

ボンディ(Pam Bondi)司法長官は声明で、マドゥロ氏を「世界最大の麻薬密売人のひとり」と評し、麻薬カルテルと共謀した合成麻薬フェンタニルを混ぜたコカインを米国に大量に流入させていると非難した。

またボンディ氏は「トランプ(Donald Trump)大統領のリーダーシップの下、マドゥロは司法の裁きから逃れることはできず、その卑劣な犯罪の責任を問われることになるだろう」と述べた。

マドゥロ氏は第一次トランプ政権時の2020年、麻薬密売やテロリズムなどに関する共謀罪で、マンハッタン連邦裁判所において、複数の同盟者たちとともに起訴された。

当時のトランプ政権はマドゥロ氏の逮捕に対し、1500万ドルの報奨金をかけた。

その後、バイデン政権が報奨金を2500万ドルに引き上げた。これは2001年9月11日の同時多発テロ後に国際テロ組織アルカイダの創設者であるビンラディン(Osama bin Laden)にかけられた報奨金と同じ額である。

賞金首のマドゥロ氏は2024年の大統領選で勝利したと主張。米国、EU、複数のラテンアメリカ諸国が「詐欺選挙」と非難する中、権力を維持している。

マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は昨年7月の大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。

米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、かつては南米最大の経済大国であった。しかし、その経済は米政府による制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

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