SHARE:

米国、アルゼンチン産牛肉の輸入を拡大、トランプ氏が大統領令に署名

これにより、低関税で輸入可能なアルゼンチン産牛肉の関税率割当が年間8万トン引き上げられることになった。
2025年9月23日/米ニューヨークの国連本部、トランプ大統領(右)とアルゼンチンのミレイ大統領(ロイター通信)

トランプ(nald Trump)大統領は6日、アルゼンチンからの牛肉輸入を大幅に増やす大統領令に署名した。これにより、低関税で輸入可能なアルゼンチン産牛肉の関税率割当が年間8万トン引き上げられることになった。対象は主にハンバーガー用の「リーン・ビーフ・トリミング(脂肪分の少ない牛肉部位)」で、追加分は四半期ごとに2万トンずつ段階的に受け入れられる予定だ。

政府はこの措置を米国内で上昇を続ける牛肉価格を抑えるための一時的な供給対策と位置付けている。米国ではこの数カ月、牛肉価格が高水準で推移しており、トランプ政権は食料価格の安定化を重要な政策課題として強調してきた。今回の措置は消費者が購入するグラウンドビーフ(挽肉)などの価格を下支えする一助になることが期待されているというが、経済専門家の間では価格に与える影響は限定的との見方も出ている。輸入増加分は米国の総牛肉輸入のごく一部にとどまるため、スーパーの店頭価格を大幅に引き下げる効果は薄いとの指摘がある。

トランプ政権は声明の中で、アルゼンチン産牛肉の輸入枠を増やすことが「米国消費者にとって手頃な価格の牛肉供給を確保するための必要かつ適切な措置」であると説明し、農務長官や通商代表部と協議の上で決定したとした。宣言には貿易法に基づく権限が用いられており、供給不足や市場の混乱が認められる場合に輸入条件を緩和できる条項が適用された。

しかし、この方針には国内畜産業界から強い反発が出ている。米国の主要な牛肉生産州であるネブラスカ州選出の共和党議員は、「アルゼンチン産牛肉の輸入拡大は米国の畜産業者に打撃を与える誤った政策だ」と述べ、国内生産の強化や規制緩和を通じた自給率向上を優先すべきだと訴えた。国内の畜産農家も自身の経営や地元雇用への悪影響を懸念している。

今回の輸入拡大はアルゼンチンとの貿易関係強化の一環でもある。両国は先により広範な通商・投資協定にも署名し、米国製品への優先的アクセスや投資促進を取り決めている。アルゼンチン側では、この関係強化が同国の経済成長や輸出拡大につながるとの期待がある一方、国内産業や欧州市場からの競争激化を懸念する声も存在する。こうした背景には、アルゼンチン経済の自由化や対外貿易の活性化を進める現政権の政策方針がある。

トランプ氏がこの措置を通じて価格抑制と外需取り込みの双方を目指す一方で、消費者や生産者の間で評価が分かれる形となっている。米国内では今後、牛肉価格の動向や輸入拡大措置の実効性について、政策的な議論が一段と活発化しそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします