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トランプ氏、「制裁タンカー」のベネズエラ入港阻止、マドゥロ政権への圧力強める

トランプ氏は自身のソーシャルメディアに声明を投稿。ベネズエラの独裁者であるマドゥロ大統領が米国の資産を盗み、麻薬密輸や人身売買などの犯罪資金として原油収入を利用していると非難した。
2025年12月15日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、南米ベネズエラに対する圧力を強化するため、制裁対象の「石油タンカー」をベネズエラに入港させないよう命じたと明らかにした。

トランプ氏は自身のソーシャルメディアに声明を投稿。ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が米国の資産を盗み、麻薬密輸や人身売買などの犯罪資金として原油収入を利用していると非難した。

またトランプ氏は制裁タンカーの出入航を阻止する措置を取ると表明した。今回の措置は米軍のカリブ海派遣や、ベネズエラ沖でのタンカー差し押さえなど、一連の強硬策の一環である。

トランプ氏は投稿で「ベネズエラは史上最大級の艦隊に完全に包囲されている」と述べ、封鎖を「完全なもの」と強調した。さらにこの海域で対応に当たる部隊の増強を示唆し、マドゥロ氏に対し、ベネズエラの油田、土地、その他資産を引き渡すよう求めた。対象は米国が制裁対象としているタンカーで、これをベネズエラに入港させない、あるいは出港させないことを狙っている。

この動きは先週、米沿岸警備隊や連邦捜査局(FBI)、国土安全保障省などがベネズエラ沖で制裁対象のタンカーを差し押さえたことに続くものであり、この拿捕は異例の措置として国際的な注目を集めた。米国はこの拿捕をベネズエラとイランからの制裁対象原油輸送ネットワークに対する行動だとしているが、国際法の専門家からは法的根拠への疑問も投げかけられている。

ベネズエラ政府は米国の行動を強く非難。マドゥロ氏は「ヤンキー帝国の攻撃」と主張し、ベネズエラの主権と資源を守る立場を改めて表明した。

ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量を誇るが、長年にわたる経済危機と制裁によって輸出は大幅に減少し、今回の封鎖措置は同国経済に更なる打撃を与える可能性がある。

トランプ政権はこの封鎖を麻薬対策の一環として位置づけているものの、政権内外からは「目的は麻薬阻止ではなくマドゥロ政権打倒」との批判も出ている。ホワイトハウス高官が指摘するところでは、軍事行動や封鎖などの強硬策は政権交代を視野に入れたものであり、単なる取り締まり以上の狙いがあるとの見方が広がっている。

この封鎖措置は米国とベネズエラの関係をさらに悪化させる可能性が高く、国際社会の対応や国連の動きにも影響を及ぼすとみられている。トランプ政権は他国にも協力を求める姿勢を示しているが、異なる立場を取る国々との対立も予想される。中南米地域の安定と原油市場への波及効果についても懸念が拡大している。

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