アルゼンチン大統領、年金引き上げ法案に拒否権発動
大統領府は声明で、「議会は財源を示さずに法案を無責任に可決した」と指摘した。
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アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領は4日、上下両院が7月に可決した年金引き上げ法案と障害者の保護を強化する法案に対し、財政を脅かすとして拒否権を行使した。
ミレイ氏は以前から拒否権を行使すると述べていたが、議会は過半数の賛成でこれを覆すことができる。ミレイ氏の政党は議会の少数派である。
同国では25年10月に中間選挙が予定されている。
上院72議席中24議席、下院257議席中127議席が改選される。
この選挙はミレイ氏の支持率を測る指標になるだろう。
アルゼンチンのインフレ率はミレイ氏の政策で200%超から一桁に低下したものの、市民生活に大きな影響が出ている。
大統領府は声明で、「議会は財源を示さずに法案を無責任に可決した」と指摘した。
また大統領府は「ミレイ大統領はウソを繰り返す議会の法案ではなく、真実を語ることを選ぶ。この国にそのような余裕はない」と述べた。
ミレイ氏は過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進。手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。
その結果、消費者物価指数(CPI)率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。
しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。
25年6月のインフレ率は前年同月比1.6%増。5月の1.5%を上回ったものの、過去5年間で最低水準を維持している。