ブラジル北東部の学校で銃撃事件、2人死亡、3人負傷、容疑者逃走中
身元不明の容疑者が学校外の歩道から発砲し、校内の駐車場にいた5人が被弾した。
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ブラジル北東部セアラ州ソブラルの学校で発砲があり、10代の男女2人が死亡、3人が負傷した。当局が25日、明らかにした。
それによると、身元不明の容疑者が学校外の歩道から発砲し、校内の駐車場にいた5人が被弾したという。
当局は被害者の身元や生徒かどうかを明らかにしていない。
警察が現場を封鎖し、容疑者を追跡中。TVグローボは関係者の話しとして、「容疑者はセミオートライフルを使ったとみられる」と伝えている。
セアラ州知事は犠牲者に哀悼の意を表し、「許しがたい行為」と批判した。
ブラジルにおける銃犯罪は長年にわたり深刻な社会問題となっている。殺人や強盗、麻薬取引に伴う暴力事件の多くに銃が使用されており、その発生率は世界でも最も高い水準にある。とりわけ大都市の貧困地域では麻薬組織やギャングが銃器を保持し、治安部隊との間で激しい銃撃戦が繰り広げられることが少なくない。その結果、住民が流れ弾の犠牲となるケースも多く、治安の不安定さが人々の日常生活に影を落としている。
ブラジルで銃犯罪が蔓延する背景には、社会的格差と国家機関の脆弱さがある。教育や医療へのアクセスが限られる貧困層の若者は、犯罪組織に取り込まれやすく、銃を持つことが権力や生存手段と結びつけられる。一方で治安部隊の腐敗や暴力的な捜査手法も問題視され、警察による過剰な銃使用が市民の死を招く事例も後を絶たない。このように、銃は単なる犯罪道具にとどまらず、国家と市民社会との間の不信の象徴にもなっている。
銃規制に関しては、2003年に「銃規制法」が制定され、市民による銃の所持や購入を厳しく制限する措置が導入された。これにより一時的に銃による殺人件数は減少したとされる。しかし、その後の政治的変化により規制は揺らいでいく。とりわけ2019年に発足したボルソナロ政権は「自衛の権利」を強調し、銃所持を容易にする政策を進めた。これにより民間人が合法的に保有する銃の数は大幅に増加し、治安悪化への懸念が国内外で高まった。
統計によると、ブラジルにおける殺人事件の大多数は銃器によって行われており、その割合は70%を超えるとされる。国際的に見ても突出して高い水準であり、銃器が暴力の主要な手段として社会に根深く浸透していることを示している。また、銃の流通経路は合法・違法の双方に広がり、国境を越えた密輸や国内の闇市場が組織犯罪を支えている。特にパラグアイなど周辺国からの銃流入は大きな課題である。
近年では、市民社会や人権団体が銃犯罪抑制のための啓発やロビー活動を展開し、法規制の強化や治安部隊改革を訴えている。加えて、地方自治体やNGOは貧困地域での教育支援や職業訓練を通じて、若者が犯罪組織に流れ込むのを防ぐ取り組みを行っている。しかし、根本的に社会的格差が是正されない限り、銃犯罪の削減は容易ではない。