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ブラジル・サンパウロで大規模停電、交通インフラに波及、400便が欠航に

停電は10日午後に発生。低気圧による暴風で複数の電力設備が損傷したとみられる。風速は30メートルに達したが、11日午前の時点でケガ人の情報はない。
2025年12月10日/ブラジル、最大都市サンパウロ(AP通信)

ブラジルの最大都市サンパウロで大規模な停電が発生し、140万人以上の市民が影響を受けている。現地メディアが11日に報じた。

それによると、停電は10日午後に発生。低気圧による暴風で複数の電力設備が損傷したとみられる。風速は30メートルに達したが、11日午前の時点でケガ人の情報はない。

停電の影響はインフラ全般に及んでいる。市中心部の主要空港では欠航や遅延が発生。大幅な運航混乱が生じ、郊外に位置するグアルーリョス国際空港でも欠航や遅延が相次いだ。

TVグローボによると、11日までに欠航になった便数はおよそ400便にも上るという。航空当局は空港施設の電力復旧が遅れたことが混乱を長引かせた要因と説明している。

電力供給を担当するイタリアの大手電力会社エネル(Enel)は復旧見通しを示しておらず、約1300人の作業員が現場で復旧作業に当たっている。

一方、サンパウロ市長はエネルの対応を「不十分で無責任」と批判し、市側が停電リスクを減らすために事前に樹木の剪定など対策を講じてきたにもかかわらず、同社の準備不足が被害を拡大させたと主張した。

停電の影響は電力だけにとどまらず、上下水道サービスにも波及している。水道事業者は電力喪失によりポンプが十分に稼働できない地域が出ているとし、水の供給に支障が出ていると明らかにした。市民からは日常生活への影響に対する不満の声が上がっている。

停電発生当初は200万人超が影響を受けていたが、その後一部地域で電力が復旧し、影響範囲は縮小したものの、市内の広い範囲で依然として不安定な状況が続いている。停電を受けて路線バスや地下鉄など公共交通機関でもダイヤの乱れや運休が発生し、通勤・通学時間帯の混乱を招いたとの報告もある。

気象専門家は今回の停電を引き起こした強風の背景には気候変動に伴う極端な気象現象の増加が影響している可能性を指摘している。それによると、海水温の上昇により、南大西洋で発達した低気圧が形成されやすくなり、強い風を内陸部へ送り込み、樹木を倒すほどの破壊力をもたらしたという。こうした異常気象は今後も発生するリスクがあり、インフラの耐久性強化や災害対策の見直しが求められている。

市当局は市民に対し、最新の気象情報や安全対策を確認するよう呼びかけるとともに、電力・水道・交通各機関と連携して復旧作業を進めていると説明した。

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