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ブラジル・リオ大規模摘発、警察が内部調査開始、8人死亡


問題となっているのは、市中心部の貧困地区で実施された強制捜査である。
ブラジル、リオデジャネイロ、警察官とギャング構成員(Getty Images)

ブラジルリオデジャネイロで行われた警察の大規模作戦をめぐり、州当局は20日、この作戦に関与した警察官4人を現場任務から外し、内部調査を開始した。この作戦では少なくとも8人が死亡し、治安対策のあり方に批判が高まっている。

問題となっているのは、市中心部の貧困地区で実施された強制捜査である。約150人の警察官が動員され、複数のコミュニティを対象に麻薬組織の摘発が行われた。この作戦により、麻薬密売組織のメンバーとされる7人と住民1人が銃撃戦の末、死亡した。

当局によると、調査のきっかけとなったのはボディカメラの「不適切な使用」である。具体的な内容は明らかにされていないが、録画の停止や運用違反の可能性が指摘されている。警察は透明性確保のため、関係した4人を現場から外し、内務部門による本格的な調査を進めている。

死亡者の中には犯罪組織CV(赤コマンド)の幹部とされる人物も含まれていた。この組織はリオを拠点とする最大級の麻薬組織の一つで、近年勢力を拡大している。作戦はこうした組織の影響力を抑え込む狙いがあったが、結果的に住民も巻き込む形となり、過剰な武力行使ではないかとの疑問が浮上している。

さらに、作戦後には報復とみられる暴力行為も発生した。組織関係者とみられる人物らがバスに放火し、道路を封鎖するなどの騒乱が発生、警察が少なくとも5人を拘束した。地域の緊張が一時的に高まり、治安の不安定さが露呈した。

リオでは近年、スラム街での警察作戦による死者の多さが大きな社会問題となっている。2025年10月には同様の大規模作戦で120人以上が死亡した。この際も警察の過剰な武力行使や人権侵害に批判が集まり、抗議活動や政治的論争に発展した経緯がある。

今回のケースでも左派政治家や人権団体から「無計画で暴力的な治安対策がさらなる暴力を招いている」との批判が上がっている。一方で当局は、武装した犯罪組織に対抗するためには強力な作戦が不可欠だと主張しており、対応を正当化する姿勢を崩していない。

リオのスラム街では貧困や社会的排除を背景に犯罪組織が強い影響力を持ち、警察との衝突が日常化している。こうした構造的問題が解決されない限り、同様の流血を伴う作戦は今後も繰り返される可能性が高い。

警察官の処分と調査は、説明責任の確保に向けた一歩とみられるが、実態解明と再発防止につながるかは不透明である。治安維持と人権保護のバランスをどう取るかという課題は、ブラジル社会に重くのしかかっている。

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