ブラジル「リオのカーニバル」で性労働者にスポットライトを当てたパレード
これはサンバスクール「ポルト・ダ・ペドラ(Porto da Pedra)」が企画したもので、セックスワーカーの声と存在を祝福し、社会的スティグマ(偏見)を打破することを目指すものである。
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ブラジル・リオデジャネイロで行われる「リオカーニバル」でセックスワーカー(性労働者)を主題に据えたパレードが行われ、職業に対する偏見を解消しようとする動きが注目されている。これはサンバスクール「ポルト・ダ・ペドラ(Porto da Pedra)」が企画したもので、セックスワーカーの声と存在を祝福し、社会的スティグマ(偏見)を打破することを目指すものである。
このサンバスクールは、リオ湾を挟んだ低所得地域に拠点を置き、年に1度開催されるカーニバルでの競演に向けて入念な準備を進めてきた。今年のパレードのテーマは「古(いにしえ)より、夜の甘くも苦い口づけ(From life’s oldest times, the sweet and bitter kiss of the night)」で、周縁化されたコミュニティを描く3部作の最終章に位置付けられている。演出家はAP通信の取材に対し、「このサンバスクールはセックスワーカーをより見える存在にし、目に見えないものにしないように努めている」と説明し、単なる美化や賛美ではない姿勢を強調した。
このパレードでは80歳を超える元セックスワーカーであり活動家の女性が象徴的に称えられる。この女性は10代で家を離れ性的労働に従事し、その後セックスワーカーの権利獲得のため活動を続けてきた人物で、1980年代にはブラジル売春婦ネットワーク(Brazilian Network of Prostitutes)の共同設立にも関わった。女性はAPに「売春婦が称えられるとは誰が想像しただろうか」と語り、職業としての尊厳を主張した。
ブラジルでは成人が自発的に行う性的労働は犯罪とされず、2002年には労働省が公式の職業として認定しているため、年金や社会保障などの労働者としての権利が付与されている。しかし、法律上の曖昧さが残ることから、警察による取り締まりや立退きといった弾き出し行為が行われることもあり、依然として偏見や不平等が根強いと指摘される。専門家は法律の不明瞭さが実質的に警察の裁量を許す結果になっているとして、改善の必要性を訴えている。
このため、パレードにはブラジル各地から数十人のセックスワーカーが参加し、自らの存在と職業への理解を広げる機会として活用されている。参加者の1人は「長い間タブーとされてきた性的労働が、これを通じて人々の心に共感と尊重をもたらすことを望む」と述べ、観客の意識変革を期待している。
カーニバルにおけるサンバスクールの影響力は極めて大きく、社会問題を取り上げることで地域内外の議論を喚起してきた。パラナ大学の通信学教授は、サンバスクールがブラックコミュニティから生まれ、社会的テーマを大衆に届ける役割を担ってきた歴史を指摘し、「テーマは何カ月も地域コミュニティで歌われ議論され、それが広範な人々に伝播する可能性がある」と述べ、カーニバルが社会変革の一助となる可能性を評価した。
性的労働に対する偏見はブラジル社会の中でも根強いが、今回のリオカーニバルでの取り組みは、伝統的な祭りの舞台を通じて尊厳と尊重を訴える新たな表現として国内外の注目を集めている。
