ベネズエラ大統領がプーチン氏と電話会談、米国の圧力に対抗
今回の協議は米国がベネズエラ沖で制裁対象とされる石油タンカーを拿捕し、マドゥロ政権への圧力を強化している状況を受けて行われたものである。
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ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は11日、南米ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領と電話会談を行い、米国との緊張が高まる中、「ベネズエラ国民への連帯」を表明し、同国政府への支持を改めて示した。
ロシア大統領府によると、プーチン氏はマドゥロ氏との会談で、外部からの圧力に直面するベネズエラの主権と国家利益の擁護に対しロシアが引き続き支持する意向を強調したという。
今回の協議は米国がベネズエラ沖で制裁対象とされる石油タンカーを拿捕し、マドゥロ政権への圧力を強化している状況を受けて行われたものである。米側は拿捕を対麻薬作戦や制裁の執行の一環と説明しているが、ベネズエラ政府はこれを「国際的な海賊行為」と強く非難し、米国の行動は同国の経済主権を侵害するものであると主張している。
ロシア大統領府は声明で、プーチン氏が「ロシアはベネズエラ政府が国家主権と国際法、地域の平和を守る闘いを続けることを支持する」と述べ、両首脳は戦略的パートナーシップの強化についても意見を交換したという。また貿易やエネルギー、金融、人道分野での協力プロジェクトを引き続き進めることでも一致した。
ベネズエラは豊富な原油資源を背景にロシアとの関係を長年維持してきた。両国は2025年2月に戦略的パートナーシップ協定を結び、経済や技術面での協力を拡大している。プーチン氏の支持表明は米国の圧力が高まるなかで同盟関係を強調する意図とみられる。
一方、米側はベネズエラを巡る取り組みを正当な措置と位置づけている。米ホワイトハウスの関係者は、拿捕作戦は制裁対象となる原油輸送を阻止し、麻薬関連の資金流入を断つための措置だと説明している。
米国は過去数か月間、カリブ海地域における軍事プレゼンスを強化し、カリブ海や東太平洋で麻薬密輸船への攻撃を行ってきた。
マドゥロ政権はこれらの米国の行動が政権転覆を目指すものだと非難しており、プーチン氏の支持表明は国際的な孤立を避ける狙いがあると分析される。マドゥロ政権はこれまでも、ロシアや中国など既存の同盟国との結びつきを強めることで外圧に対抗しようとしてきた。
米国とベネズエラの関係はトランプ政権下で特に緊張が高まっている。トランプ(Donald Trump)大統領はマドゥロ政権を「麻薬テロ組織」と断じ、政権交代を促す圧力を強化するとともに、軍事的な選択肢も排除していない姿勢を示している。このため、地域全体での安全保障やエネルギー供給に対する懸念が国際社会で広がっている。
ロシアと米国がベネズエラを巡って対立を深める中、今後の外交交渉や地域情勢の展開が注目される。両国間の緊張は単なる二国間の問題にとどまらず、複数の大国が関与する複雑な国際関係の一側面として浮上している。
