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アルゼンチン大統領の車列に投石、選挙運動中、分断激化

大統領府の報道官は声明で、ミレイ氏にケガはなく、複数の左派支持者が車列に石を投げつけたと非難した。
2025年8月27日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、投石をかわそうとするミレイ大統領(中央)と関係者たち(AP通信)

アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領が27日、ブエノスアイレス州での選挙活動中にを投げつけられた。

現地メディアによると、ミレイ氏は9月7日に予定されているブエノスアイレス州議会選挙のキャンペーンで現地入りし、右派候補と共にトラックで移動していた。

大統領府の報道官は声明で、ミレイ氏にケガはなく、複数の左派支持者が車列に石を投げつけたと非難した。

また報道官は懲役6年の実刑判決が確定したフェルナンデス(Cristina Fernández)前副大統領(自宅軟禁中)の支持者が暴動を引き起こしたと主張した。

ブエノスアイレス州は同国最大の州であり、人口の3分の1超が居住している。

現地メディアによると、ミレイ氏と与党・自由前進(LLA)の主要候補者らはピックアップトラックの荷台に乗っていた移動していた。

その後、ミレイ氏が演説を始めようとする石や瓶などが飛び交い始めた。

歓声を上げる支持者と野次を飛ばす抗議者が殺到する中、群衆がミレイ氏の車列を取り囲んだため、パニックと混乱が生じた。

ミレイ氏らが集会を行った地域は過去80年間に渡ってアルゼンチンを支配してきた労働者の権利を重視する福祉ポピュリズム「ペロニズム」の拠点である。

これはアルゼンチンの民衆を基盤とする政治運動。創始者であるペロン(Juan Domingo Perón)元大統領の名に由来する。

ペロニズムは社会正義の実現を最大の目的とし、弱者救済、不平等の解消をめざすポピュリズムの一形態である。

党の別名は正義党で、ペロン夫人(愛称エビータ)は貧者救済のシンボルとなった。

ミレイ氏は23年末に就任。過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進し、手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。

その結果、インフレ率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。

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