アメリカ大陸の「報道の自由」劇的に悪化=監視団体
記者の殺害や恣意的拘束、メディアへの攻撃が相次ぎ、報道関係者に対する犯罪が処罰されないケースも広がっている。
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アメリカ大陸で「報道の自由」が大きく後退していることが明らかになった。米フロリダ州マイアミに本部を置く米州報道協会(IAPA)は10日、2025年の報道の自由に関する年次報告を発表し、米州23カ国を対象に調査した結果、報道の自由は「劇的に悪化した」と指摘した。記者の殺害や恣意的拘束、メディアへの攻撃が相次ぎ、報道関係者に対する犯罪が処罰されないケースも広がっているという。
報告書は、表現の自由の状況を評価する「チャプルテペック指数」に基づき各国を分類した。その結果、南米ベネズエラと中米ニカラグアは「言論の自由が存在しない国」と位置付けられた。またエクアドル、ボリビア、ホンジュラス、ペルー、メキシコ、ハイチ、キューバ、エルサルバドルなどは「高い制限」がある国とされた。一方、カナダ、ブラジル、チリ、パナマなどは「制限が比較的少ない国」に分類された。
暴力の増加も深刻である。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、2025年に中南米で殺害された記者は13人に上り、前年の7人からほぼ倍増した。犯罪組織や武装勢力、政治的対立などが背景にあり、取材活動自体が危険を伴う状況が広がっている。さらに多くの事件で加害者が処罰されず、不処罰の状態が報道の自由を一層脅かしていると指摘されている。
また、各国政府が法律を利用して報道活動を制限する傾向も強まっている。報告では、テロ対策法やサイバー犯罪法、非政府組織に関する法律などが記者やメディアを取り締まる手段として使われている例があるとされる。こうした制度的圧力は、報道機関に自己検閲を促す要因になっているという。
米国についても、完全に自由な環境とは評価されなかった。2025年には記者に対する攻撃が170件確認され、「一定の制限がある国」に分類された。移民当局の取り締まりを取材する過程で記者が妨害を受けた事例が報告され、政府の情報公開の姿勢や、政権幹部による批判的メディアへの攻撃的言動も問題視された。
さらに、ハイチは今回初めて指数の対象に含まれ、報道の自由が著しく制限されている国の一つとされた。同国では武装ギャングが首都の広い地域を支配し、報道関係者や市民への攻撃が続いている。2024年には病院再開式典を取材していた記者2人がギャングの襲撃で殺害される事件も起きた。
IAPAは、報道の自由は民主主義の根幹であり、各国政府が記者の安全確保と情報公開の徹底に取り組む必要があると強調した。暴力や法的圧力が続けば、社会が必要とする情報が市民に届かなくなる恐れがあるとして、国際社会の継続的な監視と支援の重要性を訴えている。
