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ペルー大統領選、候補乱立で決選投票の公算大、4月12日投開票


今回の選挙は長年にわたる政治不安と国民の不信感を背景に行われた。
2026年4月12日/ペルー、首都リマの大統領選挙投票所(ロイター通信)

南米ペルーで4月12日、大統領選挙の第1回投票が実施された。30人を超える候補者が乱立する異例の「大混戦」となり、過半数を得る候補が出ない見通しから、6月7日に決選投票が行われる可能性が極めて高い状況となっている。

今回の選挙は長年にわたる政治不安と国民の不信感を背景に行われた。ペルーでは2018年以降だけでも複数の大統領経験者が逮捕され、汚職や議会との対立による弾劾が相次いできた。わずか数年で政権が次々と崩壊する異常事態が続き、政治体制そのものへの不満が広がっている。

有権者数は2700万人余りに上り、投票は義務制である。首都リマでは投票開始の遅れも報告され、混乱が見られた。さらに候補者数の多さから投票用紙が非常に長く、有権者の多くが直前まで投票先を決めかねる状況にあった。

主な争点は治安悪化と汚職問題である。近年、殺人や恐喝などの犯罪が増加し、国民生活への不安が強まっている。このため多くの候補者が軍の投入や厳罰化など強硬な治安対策を掲げ、選挙戦はポピュリズム的な色彩を帯びた。

有力候補としては、故アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の娘である右派のケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏、極右実業家のアリアガ(Rafael López Aliaga)氏、元コメディアンのアルバレス(Carlos Álvarez)氏、元リマ市長のベルモント(Ricardo Belmont Cassinelli)氏らが挙げられるが、いずれも支持率は10%台にとどまり、突出した候補はいない。

こうした状況は政党基盤の弱さと政治エリートへの不信を反映している。既存政治に対する失望から「アウトサイダー候補」への支持が広がる一方で、票が分散しやすく、結果として決選投票が常態化する構図が続いている。

また、今回の選挙では上下両院の議会も同時に選出される。2024年の憲法改正により復活した上院は大統領の弾劾や重要人事に強い権限を持ち、政治の安定化につながるかは不透明である。むしろ権力闘争が激化し、さらなる政権不安定化を招く可能性も指摘されている。

資源国として世界有数の銅生産量を誇るペルーにとって、政治の行方は国際的にも注目される。米国と中国の影響力争いが続く中、新政権の外交・経済政策は地域情勢にも影響を与えかねない。

今回の大統領選は候補者乱立による分裂と、国民の政治不信が色濃く表れた選挙である。決選投票に進む2候補が誰になるかは依然不透明であり、選挙後も安定した統治が実現するかどうかは見通せない。ペルーは引き続き政治的試練の中にあると言える。

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