ペルーのトレド元大統領に懲役13年、汚職裁判続く
トレド氏が一連の汚職裁判で実刑判決を受けたのは2回目。
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ペルー・リマの裁判所は3日、マネーロンダリング(資金洗浄)の罪でアレハンドロ・トレド(Alejandro Toledo、78歳)元大統領に懲役13年4カ月の実刑判決を言い渡した。
トレド氏が一連の汚職裁判で実刑判決を受けたのは2回目。
現地メディアによると、リマ地裁の判事は検察の主張を概ね認めたという。
トレド氏は在任中、高速道路の建設工事でブラジルの建設大手オデブレヒトに便宜を図り、その見返りとして3500万ドル(約52億円)を受け取り、不動産などを取得したとされる。
トレド氏は昨年11月、同事件における収賄・汚職罪で懲役20年6ヶ月の判決を受けていた。
トレド氏は2001年から2006年まで大統領を務め、オデブレヒト関連の汚職で有罪判決を受けた元国家元首のひとりである。
数ヶ月前にはウマラ(Ollanta Humala)元大統領が2006年と2011年の選挙運動資金として賄賂を受け取ったとして、懲役15年の実刑判決を受けている。
オデブレヒト社は2016年、米司法省に対し、多額の賄賂を贈ってペルーの主要インフラ工事を受注したと認めた。
この捜査はメキシコ、グアテマラ、エクアドルなど、他の中南米数カ国に飛び火した。
ペルー当局はトレド氏と他の3人の元大統領がオデブレヒトから賄賂を受け取っていたと告発。トレド氏はブラジルとペルー南部を結ぶ650キロの高速道路建設の契約と引き換えに、3500万ドルを受け取ったとされる。
この工事費用は発注当初5億700万ドル(約751億円)と見積もられていたが、設計変更が重なり、最終的に12億5000万ドル(約1852億円)まで膨らんだ。
ペルーでは政治家の汚職問題が長年にわたり深刻な課題となっている。
歴代大統領の多くが職務中または退任後に収賄、権力乱用、不正資金の受領などで捜査や訴追を受けており、政治不信の大きな要因となっている。
特に大きな注目を集めたのはオデブレヒト社による汚職事件である。
同社は南米各国の政府関係者に巨額の賄賂を提供し、公共事業の契約を不正に獲得していた。
このスキャンダルでは、ペルーの大統領経験者のほとんどが関与を疑われ、トレド氏、ガルシア氏、ウマラ氏、クチンスキ氏、さらにはアルベルト・フジモリ氏などが捜査や裁判の対象となった。
ガルシア氏は逮捕直前に自殺するなど、事件は社会に大きな衝撃を与えた。
こうした汚職は単なる個人的不正にとどまらず、国家機関の構造的な問題と結びついている。
司法や警察の独立性が十分に確保されず、政治権力との癒着によって汚職が繰り返されやすい体質がある。
また、選挙資金の不透明さや政党の組織基盤の弱さも、不正な金銭が政治に流入する原因となっている。
さらに、短期間で大統領が次々と辞任や弾劾に追い込まれる「政権の不安定性」も、汚職が根深く存在する背景の一つである。
市民の側でも、汚職に対する抗議活動や制度改革を求める声が高まっている。
透明性の強化、司法制度改革、選挙資金の厳格な規制などが議論されているが、実効性ある改革は道半ばである。
結果として、政治不信が広がり、民主主義の基盤を揺るがす状況が続いている。
ペルーの汚職問題は南米全体の政治風土とも深く関連しており、経済発展や社会安定に大きな影を落とし続けている。