ペルー首都に非常事態宣言、大統領が発布、暴力抑制へ
ペルーでは近年、殺人事件、恐喝、公共施設への攻撃が急増している。
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南米ペルーのホセ・ヘリ(José Jerí)大統領は21日、首都ペルーで暴力が激化しているとして、非常事態を宣言した。
ペルーでは近年、殺人事件、恐喝、公共施設への攻撃が急増している。警察の報告によると、今年1月から9月までの殺人認知件数は1690件、2024年同期の1502件を上回った。
リマ市内ではZ世代が主導する抗議デモが続いている。
このデモは18歳以上の全国民に年金加入を義務付ける年金制度改革を契機に勃発。ボルアルテ(Dina Boluarte)前大統領と議会に対する長年の怒りも抗議を煽る要因となっている。
専門家は政界における過去の汚職への怒りが積み重なり、今回のデモの引き金になったと指摘していた。
この不満は汚職スキャンダル、経済不安、犯罪増加に加え、2022年末にカスティジョ(Pedro Castillo)元大統領が解任・逮捕された後、ボルアルテ氏が権力を掌握した際に治安部隊によって数十人の抗議者が殺害されたことに対する説明責任の欠如への怒りによって煽られてきた。
議会は10月10日、ボルアルテ氏の不信任決議案を圧倒的賛成多数で可決。ホセ・ヘリ氏が後任に選ばれた。
議会はボルアルテ氏が犯罪の波に対処できず、不正に手を染めたと非難した。
ヘリ氏はテレビ演説で、リマの非常事態令を30日間継続すると表明。警察支援のための軍隊派遣や、集会・移動の自由などの権利を制限する措置を検討中であると述べた。
その後、政府は非常事態宣言を正式に発令する政令を出した。
リマで16日に行われたデモでは少なくとも1人の民間人が死亡、約100人が負傷した。