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ペルー首都で政府与党と汚職に抗議するデモ、Z世代が主導

ペルー政界の汚職問題は、長年にわたって国内政治の根幹を揺るがしてきた。
2025年9月20日/ペルー、首都リマ、ボルアルテ政権に抗議する女性と機動隊(ロイター通信)

ペルーの首都リマで27日、ボルアルテ政権に抗議するデモが行われ、多くのZ世代が参加した。

リマでは9月20日にも同様のデモが行われ、一部が暴徒化。十数人の警察官、抗議者、ジャーナリストが負傷した。

このデモは18歳以上の全国民に年金加入を義務付ける年金制度改革を契機に勃発。ボルアルテ(Dina Boluarte)大統領と議会に対する長年の怒りも抗議を煽る要因となっている。

専門家は政界における過去の汚職への怒りが積み重なり、今回のデモの引き金になったと指摘している。

この不満は汚職スキャンダル、経済不安、犯罪増加に加え、2022年末にカスティジョ(Pedro Castillo)前大統領が解任・逮捕された後、ボルアルテ氏が権力を掌握した際に治安部隊によって数十人の抗議者が殺害されたことに対する説明責任の欠如への怒りによって煽られてきた。

ペルー政界の汚職問題は、長年にわたって国内政治の根幹を揺るがしてきた。特に2000年代以降、多くの元大統領や高官が汚職や収賄、不正契約に関与したとして告発・起訴されており、制度的な腐敗が根深いことが浮き彫りとなっている。

代表的な事例として、アルベルト・フジモリ元大統領が挙げられる。彼は1990年から2000年まで大統領を務めたが、政権末期には諜報機関の幹部と共に汚職や人権侵害、不正選挙の責任を問われて逮捕・有罪判決を受けた。その後も複数の歴代大統領が、いずれも汚職スキャンダルに関与していたとされ、国民の政治不信は極度に高まっている。

中でも大きな波紋を呼んだのが、ブラジルの大手建設企業オデブレヒト社によるラテンアメリカ全域の贈賄事件である。この事件では、ペルーの複数の元大統領が企業側からの多額の資金提供を受けていたことが明らかとなり、国際的な注目を集めた。クチンスキー元大統領はこの疑惑により辞任し、ガルシア元大統領は逮捕直前に自殺するという衝撃的な展開となった。

政党レベルでも汚職の構造は深く、選挙資金の不正受領、公共事業契約の見返りとしてのリベート受け取りなどが常態化している。政治家たちは司法や検察との癒着、証拠隠滅、捜査妨害といった手段で責任を回避しようとするケースが多く、法の支配が脅かされている。

こうした状況に対し、市民の間では反汚職への意識が高まり、抗議活動や制度改革を求める声が強まっている。また、司法機関の独立性強化や、腐敗防止機関の権限拡大といった改革も進められているが、政治的抵抗や制度的制約により、実効性には依然として課題が残る。

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