SHARE:

ペルー・ビスカラ元大統領、収賄罪で懲役14年判決

ビスカラ氏は判決直後、SNS上で「これは正義ではなく報復だ。だが、私は屈しない」と強く反発した。
2025年11月26日/ペルー、首都リマの裁判所前、マルティン・ビスカラ元大統領(中央)と関係者(ロイター通信)

南米ペルーの裁判所は26日、ビスカラ(Martín Vizcarra)元大統領に対し、県知事時代に賄賂を受け取ったとして懲役14年の実刑判決を言い渡した。

判決は即時収監を命じており、加えて9年間の公民権停止も科される。ただし、ビスカラ氏は控訴する意向を示している。

ビスカラ氏は判決直後、SNS上で「これは正義ではなく報復だ。だが、私は屈しない」と強く反発した。

さらに、自身の判決は「議会を支配する右派勢力に立ち向かったことへの報復だ」と主張し、特に故フジモリ元大統領の影響力が強い政治勢力を名指しで批判した。

ビスカラ氏は2018年から2020年にかけて大統領を務めたが、議会との対立が激化し、最終的には議会を解散するに至った経緯がある。

首都リマの裁判所によると、ビスカラ氏はモケグア県知事時代、灌漑事業と病院建設という二つの大型公共プロジェクトの契約を企業に優先的に付与する見返りとして、不正な金銭を受け取っていたと認定された。

検察は、建設企業から約61万1000ドルの賄賂を受け取ったと指摘しており、懲役15年を求刑していた。

一方で、ビスカラ氏の一部の支持者は今回の判決を政治的迫害だとみており、国内の政治不信が一層深まる可能性もある。

ペルーでは近年、大統領経験者が相次いで収監されており、トレド氏、ウマラ氏、カスティジョ氏らが服役中だ。長期にわたり収監されたフジモリ氏は2023年に釈放されたものの、その翌年に86歳で死去した。

また、ビスカラ氏の兄であるマリオ・ビスカラ(Mario Vizcarra)氏は次の大統領選に立候補しており、今回の判決が選挙情勢に影響を与える可能性も取り沙汰されている。

ペルーの政界は長年にわたる汚職疑惑と政争に揺れ続けており、今回の判決は政治と司法に対する国内外の視線をさらに厳しいものにしている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします