◎元教師でリベラル派のペドロ・カスティジョ氏は6月6日の大統領選でケイコ・フジモリ氏をわずか44,000票差で破り、初当選を果たした。
2021年7月28日/ペルー、首都リマの就任式会場近く、ペドロ・カスティジョ大統領とファーストレディ(Guadalupe Pardo/AP通信)

7月28日、ペルーの元教師でリベラル派のペドロ・カスティジョ氏が大統領就任式で宣誓し、大統領に就任した。

カスティジョ氏(51歳)は農家出身の元教師で組合のリーダーを務めていた。同氏は6月6日の大統領選でケイコ・フジモリ氏をわずか44,000票差で破り、初当選を果たした。

カスティジョ大統領は首都リマの就任式で、「神、私の家族、私の農民、姉妹と兄弟、教師、パトロール隊員、子供、若者と女性、そして新しい憲法のために職務を遂行する」と誓い、自ら国歌を斉唱した。

ペルー議会は昨年11月の憲法をめぐる政治的混乱で溶解して以来、混沌と不確実性に満ちた状態を維持している。

グローバル企業のコントロールリスク社の政治アナリストは新政権について、「カスティジョ大統領と議会の不確実性はさらなる混乱を引き起こす可能性がある」と指摘した。「重要なことはカスティジョ大統領が選挙期間中に発表した公約を達成できるかどうか、そして現在の立ち位置を維持するかどうかです...」

カスティジョ大統領のスローガンである「豊かな国で貧しい思いをすることはもうない」は貧しい地方都市の市民から多くの支持を集めた。一方、エリート層は物議を醸したアルベルト・フジモリ元大統領の娘であるケイコ・フジモリ氏を支持した。

アルベルト・フジモリ元大統領は汚職や人権侵害などの罪で懲役25年の実刑判決を受け収監されている。娘のケイコ氏も汚職とマネーロンダリングの罪で実刑判決を受けており、2018年から約13カ月刑務所に収監された。

ビジネス界のリーダーたちは、「鉱業を国有化する」というカスティジョ大統領の最初の提案に震え上がり、警鐘を鳴らした。新政権は憲法改正の準備を進めているが、議会を説得できるかどうかは不明。

ペルーは世界第2位の銅輸出国であり、鉱業はGDPの約10%、輸出の約60%を占めている。その経済はコロナウイルスの影響で荒廃し、貧困ライン以下で生活する市民の数を押し上げ、過去10年の経済成長は水泡に帰した。

カスティジョ大統領は演説の中で、「私の人生は畑で作られました」と国民に語りかけた。「私は田舎で生まれ、田舎で育ち、愛国者たちが作り上げたペルーの歴史を見てきました。ペルーを揺さぶったのは国民です。私は人々が抵抗するところを目にしました」

昨年11月、当時のマルティン・ビスカラ大統領は汚職の申し立てに直面し、弾劾された。後任のマヌエル・メリーノ大統領は就任から5日後、爆発的な抗議デモで市民2人が死亡したことを受け辞任し、フランシスコ・サガスティ氏が後任に選ばれた。

コロナウイルスの影響で数千の中小企業が閉鎖を余儀なくされ、議会の大混乱は国の不確実性を高め、地元の中小銀行は多額の預金引き出しに直面し、混乱に拍車をかけた。

ペルー太平洋大学の経済学教授であるエンリケ・カステリャノス氏は地元メディアのインタビューの中で、「カスティジョ大統領は経済界との信頼関係を構築する必要がある」と述べた。「民間を敵に回せば、抗議デモに見舞われます。そして、民間のリーダーたちは鉱業の国有化を支持していません...」

サガスティ前大統領とビスカラ元大統領のコロナウイルス対策は上手く機能せず、感染者と死亡者を押し上げた。さらに2月、閣僚らが承認前のコロナワクチンを先行接種していたことが明らかになり、国民の政府に対する不信感は頂点に達した。

カスティジョ大統領は全国民にワクチンを提供すると約束した。また、ネオバロック様式の豪華な大統領官邸には入らず、別の施設で職務に当たると明らかにした。緊縮財政を説くラテンアメリカの指導者たちは、相次いで豪華な政府庁舎を放棄している。

ボリビアのエボ・モラレス前大統領は植民地時代の大統領官邸を博物館に変えた。メキシコの大統領は官邸を一般公開施設に変更し、古い国立博物館に引っ越した。

2021年7月28日/ペルー、首都リマの就任式会場近く、ペドロ・カスティジョ大統領(Guadalupe Pardo/AP通信)
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