◎カスティジョ大統領は7日、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置すると主張していた。
ペルー議会は7日、弾劾訴追決議案を2度乗り越えたカスティジョ(Pedro Castillo)大統領をクーデター指導者と糾弾し、罷免した。
議会は左派政権を率いる元教師の議会解散宣言を却下し、弾劾投票を断行。賛成多数で決議案を採択した。
農村部出身の元教師はこの数時間前、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置すると主張した。
議会と副大統領はカスティジョ氏の主張を「クーデター」と糾弾した。
憲法裁判所もこの動きをクーデター未遂と呼んでいる。
議会を軽視するカスティジョ氏の主張はペルー国内だけでなく海外でも衝撃を持って受け止められている。この主張後、閣僚数人が辞意を表明した。
米国はカスティジュ氏に決定を覆すよう強く要請し、ボルアルテ(Dina Boluarte)副大統領は「クーデター指導者がペルーの憲法秩序を破壊した」と断じた。
地元メディアによると、軍と国家警察も議会を支持したという。カスティジョ氏が軍に何かしらの要請を行ったかどうかは不明だ。
カスティジョ氏は農村部出身の元教師で、教育や医療のサービス向上などを公約に掲げ、昨年の大統領選で勝利し、左派政権を発足させた。
しかし、修士論文の盗用疑惑や汚職など、少なくとも6つの疑惑で批判に直面し、厳しい政権運営を余儀なくされていた。
カスティジョ氏は7日に放送されたテレビ演説で、「自分を罷免しようとする者たちが民主主義を弱体化させている」と主張した。
またカスティジョ氏は「国土の縦横に広がる市民の要望に応え、法の支配と民主主義の再確立を目指す異例の政権樹立を決定した」と述べた。
カスティジョ氏は9カ月以内に新しい憲法を起草し、新議会を招集すると主張。それまでの間は政令によって国を統治するとし、外出禁止令を発令すると宣言していた。
ペルーは近年、複数の大統領が政権を追われるなど、不安定な状態が続いている。
2020年にはわずか1週間で3人の大統領が誕生した。
1985年~2020年の間に同国を率いた元大統領6人が汚職やマネーロンダリングで捜査の対象となっている。
そのうちの1人で1985年~1990年、2006年~2011年まで大統領を務めたガルシア(Alan Garcia)氏はブラジルの建設会社から賄賂を受けとったいう疑惑で拘束される前に自殺した。