パラグアイ議会、米軍の駐留拡大を認める防衛協定を承認
米軍関係者や民間職員が同国で活動するための法的枠組みを定めたもので、米国の中南米地域での影響力拡大につながる動きとして注目されている。
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南米パラグアイの議会下院(定数80)は10日、米軍の駐留を拡大できる防衛協定を採択した。米軍関係者や民間職員が同国で活動するための法的枠組みを定めたもので、米国の中南米地域での影響力拡大につながる動きとして注目されている。
承認されたのは、米軍の地位を定める「地位協定(SOFA)」と呼ばれる協定で、パラグアイ国内に米軍や関連する民間要員が一時的に滞在し、訓練や合同演習、人道支援活動などを行うことを可能にする内容となっている。協定は昨年12月にワシントンDCで両国が署名していた。
採決の結果、協定は賛成53ー反対8(棄権4)で採択された。15人は採決に出席しなかった。上院も協定を承認済みで、ペニャ(Santiago Peña)大統領の署名で正式に発効する見通しだ。ペニャ氏はトランプ(Donald Trump)米大統領と良好な関係を維持している。
協定の下では、パラグアイに滞在する米軍関係者に対する刑事裁判権を主に米側が持つことが認められる。これは外交官に近い法的保護を与える内容であり、国内では主権への影響を懸念する声も上がっている。
実際、議会審議では協定の是非を巡って議論が分かれた。左派議員は国際協力自体には賛成するとしながらも、外国軍に特別な免責を与えることは国家主権を損なう恐れがあると批判した。
一方、政府側は協定の意義を強調している。外務省は協定の目的について、国境を越えた犯罪やテロ対策での協力強化にあると説明し、「米軍基地がパラグアイに設置されることはない」と述べ、懸念の払拭を図った。
米側もこの合意を歓迎している。トランプ政権はこの協定によって多国間訓練や災害対応、人道支援などの安全保障協力が円滑になるとし、両国関係の強化につながる「歴史的な合意」だと評価していた。
しかし、市民団体や一部の政治勢力は強く反発している。中南米各地で活動する市民団体「平和と正義サービス」は声明で、外国軍を受け入れることは国家の安全保障強化につながらないと主張し、外国兵士に特別な免責を与える仕組みは国内の制度や主権を弱める恐れがあると批判した。
今回の協定承認は米国が近年、中南米地域で影響力を強めようとしている流れの中で行われた。中国など他国の存在感が高まる中、米国は地域の安全保障協力を拡大することで戦略的関係を強化しようとしている。
パラグアイ国内では犯罪対策や軍事協力の強化につながるとして歓迎する声がある一方、外国軍の活動拡大に対する警戒感も根強い。協定が実際に発効した場合、米軍の活動範囲や国内政治への影響を巡り、今後も議論が続く可能性がある。
