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パラグアイ議会がEU・メルコスール自由貿易協定を採択、南米側の承認完了


議会下院は本協定を全会一致で採択した。
2026年3月10日/パラグアイ、首都アスンシオンの議会(ロイター通信)

南米南部共同市場(メルコスール)とEUの自由貿易協定をめぐり、パラグアイ議会は17日、同協定を批准し、南米側の承認手続きがすべて完了した。約25年にわたる交渉の末に成立した歴史的枠組みは、発効に向けて大きく前進した。

報道によると、議会下院は本協定を全会一致で採択した。これに先立ち上院もすでに承認済みで、ペニャ(Santiago Peña)大統領の署名を待つ段階となっている。

これによりパラグアイは、ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルに続くメルコスール創設メンバー4カ国の中で最後の批准国となった。新規加盟国のボリビアは交渉に参加していないが、将来的に協定へ加わる可能性がある。

本協定はEUと南米諸国を合わせて7億人以上の人口を抱え、世界の国内総生産(GDP)の4分の1を占める巨大な自由貿易圏を形成する見通しである。関税削減や市場開放を通じて、農産物や工業製品など幅広い分野で貿易拡大が期待されている。

パラグアイ議会では与野党を問わず支持が広がり、「地域と世界にとって歴史的な合意」との評価が相次いだ。長年の交渉の末に実現したことから、多国間主義の成果として歓迎する声も上がっている。一方で、協定の実施にはなお課題も残る。

EU側では欧州委員会が暫定適用に前向きな姿勢を示しているものの、欧州議会の承認や欧州司法裁判所による法的判断が必要とされる。特にフランスなど一部加盟国や農業団体は、南米からの安価な農産物の流入が域内農業に打撃を与えるとして反対しており、政治的な調整が続いている。

また、環境保護や労働基準をめぐる懸念も根強く、欧州内では批准プロセスの長期化を指摘する見方もある。それでも、保護主義や地政学的緊張が高まる国際環境の中で、EUと南米の経済連携を強化する戦略的意義は大きい。

南米側の批准完了により、協定は実現に向けた重要な節目を迎えた。今後はEU側の手続きが焦点となり、世界最大級の自由貿易圏が実際に発効するかどうかは、欧州内の政治判断に委ねられている。

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