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ベネズエラ恩赦法、政治犯1557人解放へ、課題も

今回の措置は野党指導者や活動家、人権擁護者、ジャーナリストらを対象としており、すでに数百人が拘禁施設から解放されている。
2026年2月19日/ベネズエラ、首都カラカスの議会議事堂前、政治犯の釈放を求める人々(AP通信)

ベネズエラの国民議会(一院制、定数277)が成立させた恩赦法に基づき、政治的理由で拘束されていた少なくとも1557人の政治犯が恩赦申請を行い、釈放される見込みである。現地メディアが22日に報じた。今回の措置は野党指導者や活動家、人権擁護者、ジャーナリストらを対象としており、すでに数百人が拘禁施設から解放されている。

この恩赦法は2月19日、国民議会が可決し、ロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領が署名・成立したものである。法案承認はこれまでベネズエラ政府が政治犯の存在を否定してきた方針からの大きな転換を示している。恩赦法は過去数十年にわたり政治的対立や抗議行動に関連して逮捕・起訴された者を対象に、特定の期間に発生した「政治的動機による犯罪」について全面的な恩赦を付与することを目的としている。特に2024年の大統領選挙後に発生した抗議デモで拘束された2000人以上がその対象に含まれる可能性がある。

恩赦の対象には野党政治家や活動家のほか、人権団体メンバー、報道関係者も含まれるが、重大犯罪を犯した者は除外される。例えば、殺人、麻薬取引、重大な人権侵害や軍の反抗行為で有罪判決を受けた人物は恩赦の対象外とされている。この点については人権団体から批判の声が上がっており、特定の立場にある受刑者を除外することは差別的で、真の和解には至らないとの指摘がある。恩赦をめぐる適用範囲の狭さと手続きの遅さを懸念する声も根強い。

国民議会議長は申請のあった1557人について、「即時処理中」で、すでに各地の拘置所で釈放手続きが進んでいると明らかにした。また、恩赦法は拘置所外での拘束措置、例えば自宅拘禁や出頭義務といった「代替的拘禁措置」を受けている1万1000人以上についても適用される可能性があるとして、これらの措置解除にも言及している。

恩赦法成立の背景には、1月初めに米軍が首都カラカスでマドゥロ(Nicolas Maduro)前大統領を拘束したことが影響しているとの見方が強まっている。マドゥロは米国で麻薬取引などの罪に問われ、その拘束は国内外で大きな政治的波紋を呼んだ。ロドリゲス暫定政権はこれを契機として対米関係の正常化や政治的緊張の緩和を図るべく、恩赦法を掲げたとされる。

だが、恩赦の実施には依然として課題が残る。人権団体や野党指導者は恩赦手続きの透明性や迅速性、そして対象の公正な選定を求めており、特に除外された人物に対する差別的扱いについて強い不満を表明している。これまでのところ、恩赦申請に基づく釈放は各地で歓迎されているものの、解放後の制約条件や生活基盤の回復などについて不安が残っている。

恩赦法はベネズエラ社会における政治的亀裂を和らげる可能性を秘める一方、完全な政治的和解と民主的安定への道筋はなお不透明である。専門家や市民団体は今後の恩赦法の運用と、その効果を注視していく必要があるとしている。

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