ベネズエラ情勢の混乱で原油価格上昇見通し、供給過剰が上昇幅を抑制
大量の原油が依然として市場に存在しており、主要産油国が増産を維持していることから、価格上昇は限定的にとどまる見通しだ。
.jpg)
国際原油市場では、ベネズエラ情勢の不透明感を背景に原油価格が上昇する可能性が高いとみられている。米国がベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を首都カラカスで拘束し、同国への影響力を強める動きを見せたことから、供給の混乱リスクが意識されている。ただし、大量の原油が依然として市場に存在しており、主要産油国が増産を維持していることから、価格上昇は限定的にとどまる見通しだ。
米国の軍事作戦はベネズエラの石油インフラを損傷させておらず、国営石油会社PDVSAの生産・精製設備は機能しているとの関係者の証言があるものの、米国による制裁絡みの封鎖措置により、輸出が事実上停止している。1月1日以降、ベネズエラからの原油輸出は完全に止まり、積み残された原油が港湾や海上保管設備に滞留しているという。これを受けてPDVSAは石油貯蔵能力が限界に近づいたため生産削減を余儀なくされ、操業を縮小する動きが出ている。
この封鎖措置により、25年12月の輸出量は1日当たり約50万バレルと、11月の水準の半分近くにまで落ち込んだ。米シェブロンが政府の許可を得て輸出を続けているものの、その規模は1日当たり約10万バレル程度にとどまっている。
ベネズエラ情勢は価格に上昇圧力を与える要因となるが、市場全体では依然として供給余剰感が強い。世界の主要産油国とOPEC、その同盟国(OPEC+)は2026年第1四半期(1~3月)の原油生産を現行水準で維持する方針を決定し、供給サイドの増産余力を保っている。これにより、地政学的リスクに伴う価格上昇は抑制される可能性が高いとしている。
また、トランプ(Donald Trump)米大統領は米国がベネズエラの統治を暫定的に引き受ける意向を示し、米国の石油企業が同国内での生産再開に向け数十億ドル規模の投資を行う考えを表明した。しかし専門家は、長年の設備の老朽化や管理不全を抱えるベネズエラ油田の復活には巨額の資金が必要になると指摘しており、短期的な供給増にはつながらないとの見方を示している。
米国は同時にイラン情勢にも強硬姿勢を示しており、同国での抗議デモに介入する可能性を示唆したことが市場不安を刺激している。イランはOPECの主要メンバーであり、その供給動向も価格に影響する可能性があるが、具体的な政策変更の内容や時期については不透明だ。
こうした流動的な地政学リスクを受け、原油先物市場では価格がわずかに上昇する見込みであるものの、世界的には供給が依然として豊富であるため、大幅な上昇は見込みにくいとの見方が強い。投資家やエネルギー市場関係者は、OPEC+の生産政策や主要産油国の情勢を注視しつつ、市場の動向を慎重に見極めている。
