◎マドゥロ氏の最大のライバルであるマチャド元議員の被選挙権は剥奪されたままだ。
ベネズエラの政府与党は来週、独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を7月の大統領選候補に正式に指名する見通しだ。
選挙管理委員会は今週、大統領選を7月28日に実施すると発表した。
政府与党はこの発表後、国会で「バモス(さあ行こう)、ニコ!」と連呼した。
マドゥロ氏はチャベス(Hugo Chávez)前大統領氏の死後、2013年3月に暫定大統領に就任。その数カ月後に行われた大統領選で勝利し、不正選挙と広く批判された2018年の選挙で再選した。
ベネズエラ経済はマドゥロ政権に対する米国の厳しい経済制裁で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
この結果、740万人以上のベネズエラ人が国外に流出。その多くが米国への亡命を希望している。
地元メディアによると、数人の与党議員と元テレビレポーターが大統領選への立候補を表明している。しかし、いずれの候補もマドゥロ氏に対抗できる資金、組織力、有権者の支持を持っていない。
ベネズエラの選挙キャンペーンでは通常、食料品や家電製品などが無料で配られる。
与党候補は国営メディアの好意的な報道も受ける一方、野党候補とその支持者は「国家転覆を画策する活動家」などと報じられ、厳しい選挙戦を余儀なくされる。
マドゥロ氏の最大のライバルであるマチャド(María Corina Machado)元議員の被選挙権は剥奪されたままだ。
マチャド氏は昨年10月、米政府が支援する野党の選挙管理当局が主催する大統領予備選で大勝。得票率は94%に達した。投票数は選管の予想を大きく上回り、200万人以上が投票した。
マドゥロ政権はマチャド氏に15年間の出馬禁止令を科している。
しかし、マチャド氏はマドゥロ政権から公式の禁止令を受けていないと主張。昨年末、最高裁にこの差し止めを求め提訴した。