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エクアドル2025年殺人件数、前年比30%急増、ギャング間抗争激化

2025年の殺人認知件数は9216件で、2024年の7063件から大幅に増加した。
エクアドル、首都キト郊外のサイクリングロード(Getty Images)

エクアドルの2025年の殺人事件が前年から約30%増加した。内務省が20日、明らかにした。それによると、2025年の殺人認知件数は9216件で、2024年の7063件から大幅に増加した。前年には殺人件数が15%減少するなど改善傾向がみられたが、2025年は逆戻りとなり、過去数年の治安対策が十分に機能していない現実が浮き彫りになった。

内務省はこの急増を、主要な犯罪組織のリーダー逮捕や死去に伴い、分裂した複数のギャングが勢力争いを激化させたことによるものと分析している。組織内部の権力空白を埋めるために新たな勢力が台頭し、それぞれが領域支配を巡って衝突しているという。治安当局は2025年にギャングの幹部20人を拘束したとしているが、殺人の抑制には至っていない。

地域別では主要港湾都市グアヤキルを含むグアヤス州で事件が集中して発生している。同国最大の都市圏を抱える同州では、ギャング間の縄張り争いが特に激しく、日常的に殺人や抗争が起きている。治安当局は同州のほか暴力が顕著な複数の州で治安部隊を強化している。

ノボア(Daniel Noboa)大統領は非常事態宣言を発令し、暴力抑止に向けた軍の動員を進めている。政府はこれまでに1万人以上の兵士を暴力が深刻な3つの州に展開し、治安維持と住民保護の強化を図ってきた。ノボア氏は20日、世界経済フォーラムの会合で、エクアドルが「悪と麻薬テロリズムに対する全面戦争」を戦っていると述べ、国際的な理解と支援を求めた。

専門家らもギャングの分裂が暴力を長期化させる要因になっているとの見方を示す。リーダーを失った組織が細分化されると、孤立した小規模グループが対立しやすくなり、治安当局はどの集団を優先的に制圧すべきか判断が難しくなるという指摘がある。また、ギャングが麻薬密輸、恐喝、誘拐といった多様な犯罪活動に手を広げていることも、治安悪化を助長しているとの分析も出ている。

この治安情勢の悪化は社会全体にも深刻な影響を及ぼしている。暴力が頻発する地域では住民が移動や日常生活に制約を受けるほか、子どもたちの教育環境にも深刻な影響が出ているとの報告もある。一部の地域では、ギャングの支配を恐れて児童・生徒が学校に通えなくなる事例も報告されている。

復興と治安強化を求める声が国内で高まる中、エクアドル政府は警察と軍の協力体制を一層強化するとともに、国際的な支援も視野に入れた総合的な治安戦略の再構築を迫られている。

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