米ムーディーズ、アルゼンチンの国債格付け2段階引き上げ

ジャンク級(投資適格級未満)であることに変わりはない。
アルゼンチンのミレイ大統領(ロイター通信)

米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは17日、アルゼンチンの長期外貨建ておよび現地通貨建て国債発行体格付けを「Caa3」から「Caa1」に2段階引き上げた。ただし、ジャンク級(投資適格級未満)であることに変わりはない。

またムーディーズはアルゼンチンの信用格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に変更した。

ムーディーズは声明で、「今回の格付け引き上げは為替管理と資本管理の広範な自由化、および新たな国際通貨基金(IMF)による融資プログラムが外貨流動性の確保と財政への圧力の緩和を支援するとの当社の見方を反映している」と説明した。

またムーディーズは信用格付け見通しについて、「継続的な信用課題や外貨収支の構造的再均衡が依然限定的である点、および貿易条件の悪化が貿易黒字を縮小する可能性を鑑み、前向きな動向とバランスを取ったものである」と付け加えた。

ムーディーズは今年1月、アルゼンチンの国債格付けを5年半ぶりに「Caa3」に引き上げた。

アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領は過去の左派政権が残した負債を一掃すると誓い、緊縮財政を推進。手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、通貨切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。

その結果、インフレ率は200%超から1桁台まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。

しかし、補助金頼みの生活を送ってきた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率は一時50%を超えた。

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